第371話 地下に眠る魔 再び

今後の行動方針が定まった事を受け、天之御はその場に居なかった面々にもこの方針を伝える。その決定に対し反対や意見を差し挟む者は居なかった。と言うよりも挟む余地がなかったのだ反対や意見を言おうにも何を言えばいいのか分からない。そんな状況に彼等は置かれていた。

そして翌日、その方針に従い、天之御達は前回の調査でヒューペットと最後に交戦した施設の入り口に転移妖術で移動する。


「この風景……前回最後に訪れた時のままですね」


周囲を見渡した空弧がそう告げる。その周囲は壊れた車両の残骸が転がり、ヒューペットらしき死骸が転がっていた。その光景は戦場という物に慣れていなければ思わず目を瞑り、背けたくなる様な光景だ。


「さあ、急ぎましょう。こんな風景、何時までも見ていたいものじゃないわ」


星峰がそう切り出すと一同はその場から線路に沿って歩き出し、前回来た線路よりも更に奥の方へと移動していく。そしてその奥の方に向かっていくと又しても線路が奥と右に分岐していた。


「前回と同様の分岐ですね。前回は右に車両基地と施設がありました。今回あるのは……」


涙名がそう呟くと星峰は端末を取り出し、その端末に前回入手したMAPを表示する。そしてその進路上にあると思われるエリアを見ると


「この先にも何かあるわね。はっきりと断定は出来ないけど」


と告げる。


「まあ、碌なもんじゃねえだろうな。前回の施設と繋がってるってだけでも嫌な予感しかしねえ」


紋切型の口調ではっきりとそういう八咫、だがその意見にはその場に居る全員が同意していた。否な予感以外の考えは思い浮かばなかったからだ。だがそれでも足を止めるという選択肢は彼等にはなかった。否な予感を胸に秘めつつも一同は足を進め、線路の右通路へと足を進めていく。そして通路の突き当りに着くと、そこは星峰の言っていた通り何らかの施設が存在していた。


「確かに施設はありましたね。しかも前回の施設より明らかに大型の」


岬がそう告げると一同はすかさず中に入って行く。だが入って早々に何者かの銃撃を受けその床は弾痕で蜂の巣となる。間一髪でそれを躱した一同はすかさず銃撃の方向に目をやる。するとそこには機関銃を手にした人族が多数待機していた。


「人族部隊!?でもこんなところにずっと構えているなんて……まさか!?」


空弧は少し困惑した声を上げるがその間に岬が接近し


「円環衝波!!」


と言って空中で一回転し、その足から衝撃波を放って兵士の持つ機関銃を叩き落しつつ兵士を壁に叩き付ける。するとその兵士は動きを止めるがその前後に可笑しな崩れ方をする。

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