第366話 奪回作戦最終局面

人族部隊の兵士をその場に残し、司令部内部へと突入したコンスタリオ小隊は内部で数度迎撃部隊と交戦するが勢いに乗る彼等には最早その程度の部隊は足止めにもならず、難なく総司令部まで到着する。だがそこは既に蛻の殻であった。


「なっ!?誰も居ない……まさか、本当にあの兵士が言ってた様に!?」


司令部が蛻の殻と言う現状に困惑するシレットだがコンスタリオは冷静に周囲を見渡す。そしてある画面に注目すると


「予想そのものは的中しているようだけど、まだそれは途中よ」


と発言し、モイスとシレットにもその画面を見る様に指差す。するとそこには機動兵器に乗り込み、今にも逃走しようとする司令官らしき魔神族とその護衛が映っていた。


「機動兵器に乗り込んで逃走するつもりか!!」


モイスが確認する様に叫ぶとシレットは


「どうします!?今から発進口まで急いでも間に合わ……」


と動揺した声を上げるがコンスタリオは


「大丈夫よ。これで!!」


と言うと手元の端末を操作し、何かの機動スイッチを押す。すると次の瞬間、出撃口に爆発が起き、その場へ瓦礫が崩れ落ちてきて機動兵器を押し潰す。司令官と護衛は潰されていないようだがそれにより機動兵器を用いた逃走は出来なくなる。


「な、何をしたんだ!?」


モイスもシレットに続くかの様に困惑した声を上げる。だが


「話は後、今は急ぐわよ!!」


とコンスタリオはモイスの声に返答することなくその場から走って外に飛び出していく。その光景を見たモイスとシレットはやれやれといった雰囲気を漂わせながらコンスタリオの後を追っていく。

二人がコンスタリオに追いついたのは基地入り口の広間であった。するとそこにはコンスタリオの他、発進口から移動してきたと思われる基地司令の姿もあった。


「くっ、ここまで進行してくるとは……」


基地司令がコンスタリオ小隊に向かってそう呟くとコンスタリオは


「おとなしく捕まるのであれば……と言いたい所だけど、とてもそんな雰囲気じゃないわね」


と切り返す。その切り返しに反応したのか基地司令は


「その通りだ!!こんな所でみすみす捕まる気は無い」


と言い、護衛共々コンスタリオ小隊に襲い掛かって来る。それを見て居たモイスとシレットもコンスタリオに助力するべくその隣に移動する。


「司令官だけ逃げるって訳じゃねえのか、その点は堂々としてるみたいだな!!」


感心とも皮肉とも取れる発言をするモイス、その言葉に


「そうね、まあ、どの道逃がすつもりはないけど」


とシレットも同意する。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る