第367話 奪回作戦終焉

そして飛び掛かってくる司令とその護衛に対しモイスは手に銃を構えて銃を乱射し護衛の手や足を撃ってその動きを封じる。一方の飛び掛かってくる司令に対してはコンスタリオが目の前に行き格闘術でその首元を蹴り飛ばし地面に叩き付ける。その一撃はクリーンヒットしたのか地面に叩き付けられた司令は完全に意識を失っていた。


「し、司令……」


手足を撃たれつつも尚抵抗しようとする護衛達に対しシレットは


「サンダー・ロープ!!」


と言って雷撃の縄を出現させ、その縄で護衛と司令を拘束する。そこに外で戦っていた人族部隊の兵士も入ってくる。


「皆さん、大丈夫です……ね」


外から入ってきた兵士は周囲の状況を見てそう呟く。どうやら先程の音が響いた結果、コンスタリオ小隊に何かが起こったのではないかと推測してしまったようだ。

だが無事を確認した事で安心したのか、呆気に取られたのか、言葉が途中で尻すぼみになる。


「あら、貴方達が来たって事は……」

「ええ、外に居た魔神族部隊は既に鎮圧しました。私達の部隊だけでなく、外部で交戦していた部隊も既に後退を開始しているとの事です」


コンスタリオが戦況を聞くと兵士はこう回答する。それはこの作戦が成功した事、及び人族部隊の勝利を意味していた。


「その交代している部隊に対してはどうするつもりなの?」


シレットがそう尋ねると兵士は


「指揮官によればあくまでこの街の奪還が今回の目的であり、噛み付かれる危険性を冒してまで窮鼠を出現させる必要は無いとの事です。従って此処から先は私達はここに残って拘束した魔神族を送りますが、皆さんは戻って次の指示を待つ様にと」


とシレットの質問に応えつつ今後の事についても伝える。


「おいおい、戻ってってここまで来て……」


不服そうな顔をするモイスだがそれを制するかのように


「分かったわ。ならここで貴方達とはお別れね、行きましょう」


とコンスタリオは告げてモイスとシレットを連れ、建物の外へと出ていく。それを見届けた兵士は


「あれが……コンスタリオ小隊、彼らが人族の今後を左右する存在……」


と呟く。その呟きを発したのは先程不敵な笑みを浮かべていた兵士であった。その兵士は他の兵士とはどこか違う雰囲気を漂わせていた。

一方、外に出たコンスタリオ小隊はそのまま街の外に出て拠点への帰路についていた。だがモイスとシレットの両名には明らかに不服な表情が見えている。


「二人とも不服そうね。まあ、理由は聞くまでもないのだろうけれど」


そんな二人を見てコンスタリオが揶揄う様に言う。

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