第363話 松波街奪回作戦開始

「作戦内容については先程も述べた通り、松波街から出撃した部隊が正面から向かっていく隙に我々が街の裏口方面から奇襲をかける。敵も防衛部隊が皆無という訳ではないだろうが戦力を分断出来ていれば奇襲そのものは成功となる」


司令のその説明を聞いたシレットは


「奇襲そのものと言う事は戦力が思ったより分断出来なかった場合でも正面から突撃する準備が整っていると言う事なのかしら?」


と内心で疑問を抱くものの、時間の惜しさからそれを口にする事は無かった。その直後に司令は


「では、作戦に参加する部隊だが……」


と言って作戦に参加する部隊を発表する。その中にはコンスタリオ小隊も含まれていた。司令に指示された面々は早速出撃準備に入り、戦場へと向かって移動する。

そして作戦予定地点に辿り着く頃、既に松波街の部隊は魔神族部隊との交戦を開始していた。コンスタリオ小隊の居る場所からは直接見る事は出来ないが、レーダーに映るその反応が消える度、人族部隊が奮戦しているのを実感する。

コンスタリオ小隊の出撃が愈々迫り、モイス、シレット共々一週間振りの戦場に自然と気持ちが昂るのをコンスタリオは感じていた。決して戦いを望んでいる訳ではない。だが内心のどこかで魔神族に対してリベンジの思いを抱いていたのも確かであった。

作戦開始時間となり、コンスタリオ小隊を含む人族部隊は出撃し裏口方面へと回り込む。すると司令の予想通り、裏口側には殆ど敵はおらず極めてスムーズに進行することが出来た。それはコンスタリオが


「こんなにスムーズに行くなんて……まさか、これは寧ろ……」


と罠の可能性を勘ぐる程であった。だがそんなコンスタリオの予想も外れ、人族部隊は何の妨害も罠もなくスムーズに裏口付近で陣形を整える事が出来た。その位置から遠目に裏口の様子を確認したモイスは


「流石に門の近くには見張りが居るな……あれをやり過ごして中に入るのは不可能だろうね」


と告げる。それを聞いた部隊の兵士が


「じゃあどうするんですか?」


と聞いてくるとモイスは


「決まってる!!こうするのさ」


と手に銃を構え、門番に向けて素早く放つ。その銃弾は門番の急所を正確に捉え、その場に倒れこませる。だがその直後、街全体に警報音が鳴り響く。


「警報を鳴らされた?今の門番が倒れると自動的に鳴る様になっていたの?」


突然なり始めた警報に少し動揺するシレットだがそんなシレットとは対照的に


「どちらにしても行くしかないわ!!」


とコンスタリオは勢いよく告げ、その声を号令として一同は裏口から街の中へと入って行く。

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