第333話 曖昧な星峰

「配置図から推測すると恐らく赤い光は自軍、つまり先史遺産の兵器、青い光は人族部隊と考えてまず間違いないわね。私達の反応がないのは恐らくこの工場内部には識別するシステムを設置しておく必要が無いからでしょうね」


モニターに映った画像を見て星峰はそう推測する。その推測に対し八咫が


「システムを設置しておく必要が無いって、どういう事だそれは?」


と疑問を投げかけると星峰は


「それはね……」


と言いながら手元の剣に手をかける。するとその直後部屋の入り口に兵器が数体出現する。それを確認すると星峰は


「弧妖剣術、赤色の潮風!!」


と言って剣を振るい、赤色の風を兵器に向けて放つ。するとその赤色は兵器に付着し、見る見る内にその身を錆付かせてその動作を停止させる。


「こういう事、ここに辿り着いた事で油断した敵を背後から襲うシステムが配備されているからよ」


兵器の迎撃を終えた星峰が冷静にそう解説するが、空弧は


「どうして星峰は分かったの?ここに罠が仕掛けられてるって」


と問いかける。だがそれに対する星峰の回答は


「ん~一応警戒はしていたのだけど、実をいうと自分でも良く分からないのよね。何か悪意の様な物を感じた。そうとしか言えないの」


と疑問に満ちたものであった。その表情は嘘を言っている様な風ではない。恐らく本当なのだろう。それを察したのか他の面々も敢えてそれ以上は言及しなかった。だがそれに対し当の星峰本人は


「こんな曖昧な回答なのに皆その事について突っ込んでこない……どういう事なの?逆に何か心当たりがあると言う事なの?」


と疑問と不安を覚える。それが的中しているのかどうかは分からないが空弧はその内心で


「星峰の……嘗ての私の体のあの能力が以前より強まったというの?だとしたら原因はやはり、あの接触が……?」


と言い知れぬ不安を覚えるのであった。

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