第332話 意図せぬ兵器

一同がその場から移動した直ぐ後に人族部隊の兵士がそこに現れる。その中にコンスタリオ小隊は居なかった。どうやらコンスタリオ小隊とは別の部隊の様だ。


「聞こえたのはこの辺りの筈だが……」


現れた部隊の兵士は銃声が聞こえたにも関わらず何も無いという状況に当然の不自然さを感じ、周囲を見渡す。だが当然そこにある物はない。唯一存在しているとすれば壁の銃弾であるがそれに気付く事は無かった。


「今の音は空耳ではなかった。他の部隊が交戦したのか?」

「そうかもしれませんね。まあ、とにかく急ぎましょう」


部隊長らしき兵士とその部からしき兵士の会話が終わると人族部隊はその場から移動していく。その間、天之御達は兵士から距離を取る為に移動を続け、都市内にあるとある工場の中に入っていた。


「ここは工場の様ですね。今はもう起動していない様なので何を作っていたのかは分かりませんが……」

「森の地下の都市の件も考えると、いい予感はしないわね……」


空弧と星峰がそう呟くとその予感を引き寄せたかのように工場の奥から兵器が出現する。


「やっぱり、いい予感はしなかったか」


そういうと一同は身構えるがその兵器は一同の方ではなく、工場の外へと向かっていく。目の前に敵がいるのにそれを通り過ぎるという不可解な行動に八咫は


「何だ今の兵器?俺達を無視して外に行きやがった」


と疑問を口にせずにはいられなかった。すると天之御は


「と言う事は、人族部隊を迎撃する為に出撃したのかもしれないね。だとするとここに長く留まっていては大混戦になる。今兵器が出てきた方に急ぐよ」


と推測し、一その推測から一同は急いで今の兵器が出現した奥の方へと向かっていく。するとその奥の方にはデータ管理室がありその中に入った一同はそこで目の前に多数の赤い光と青い光が表示されているモニターが目に入ってくる。


「赤い光と青い光……これってもしかして……」


そのモニターを見た岬がそう呟くと


「ああ、この都市の地図と戦力分布、そう考えてまず間違いない」


と天之御が続ける。

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