第328話 転がる残骸が語る事実

転移が終了した後、一同が周囲を確認するとそこは思わず二度見してしまう光景が広がっていた。前回来た時にはなかった筈の残骸が転がっていたからだ。


「前回来た時より兵器の残骸が増えている……つまりこれは!!」

「ええ、人族部隊がここに来て兵器と交戦した、そう考えてまず間違いないわね」


涙名の呟きに続ける星峰。それに続けて


「だとすると今回の人族部隊の目的は恐らくこの地下の捜索でしょうね。そうでなければあれだけの大部隊をこんなところに回すとは思えない。そしてそうだとするなら……」


と空弧も続ける。


「話は移動しながらしよう、今はそれよりも早く移動する事が重要だよ」


天之御はそういうと一同に移動を促し、その場から足を進め始める。その途中、あちこちで兵器の残骸が転がっているのを見つける。


「あちこちに兵器の残骸がある……しかもどれも転がってからそう時間は経過していませんよ」


岬がそう呟くと他の面々は黙って頷く。黙っているのは岬が何を言いたいのかは分かっていたからだ。そしてその残骸を道標にし、一同は足を進めていく。そして暫く進むとそこで巨大な兵器の残骸を発見する。


「大型兵器の残骸……しかもこの大型は今まで見た事が無いタイプですね。過去のデータに類似した物もありません」


残骸を見た空弧がそう告げる。すると天之御は


「だとすると、ここにはこんな物を使ってまで警護しなければならない何かが存在している、そう考えてもいいのかもしれない。皆、恐らく今回は三つ巴の戦いになる。くれぐれも必要以上に消耗するのは避けて」


と一同を気にかけ、油断しない様に呼びかける。そこから先に進んでいくとそこには例の地下都市らしき場所があり、一同はその存在を知る事となる。


「こ、これは……」

「都市……ですよね。しかもこの規模、森の地下遺跡にあった都市と同等かそれ以上の規模ですよ」


その光景には天之御や星峰も驚きを隠せなかった。地下に都市があるのは既に経験済みとはいえ、それが複数あり、しかも渦中の場所にあるとは流石に思わなかったからだ。

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