第326話 星峰の懸念と思い

「それについては天之御達も含めて話したい。だからまずは謁見の間に行きましょう」


星峰にそう促され、空弧は共に謁見の前へと向かう。そして謁見の間に行くと既にそこには天之御達全員が揃っていた。


「二人とも待っていたよ。既に全員揃っている」


星峰と空弧が入って来るなり天之御はそう口にする。


「天之御様?私達が話したい事があると分かっておられたのですか?」

「ああ、さっき入り口で話していた時、僕も傍に居たからね。で、僕達を交えて話したいって聞こえたから待ってたって訳」


先程の会話を聞かれていたと知り、少し空弧は顔を赤らめる。恥ずかしい事を話していた訳では無いが。


「で、星峰、民間にブントが作った情報とそうでない情報が混在する事で怒る厄介事って何だ?」


八咫が星峰に本題を聞き出す。すると星峰は


「民間生物に情報が伝わるとブントが何をしてくるか分からないからよ。ブントの手口から考えると口封じの為に人族部隊を動かして情報を握り潰すなんて事もやりかねない。或いは内部抗争を装ってね」


とその理由を告げる。


「成程、つまり星峰は先日の不可解な侵攻の理由もそこにあるんじゃないかと考えているんだね」

「正確に言えば先日だけではなく、ブントが関連し自ら動いた自作自演全てが隠れ蓑なのではないか、そう考えているわ。場合によってはこちらの戦力がその隠れ蓑に利用されるかもしれない。そう考えると……」

「早くその隠れ蓑をはぎ取る必要がある……か」


理由を聞いた天之御は星峰に更なる声掛けを行い、それに対して星峰も答える。


「だとすると、例の新拠点もそれ自体が隠れ蓑である可能性がありますね」


岬がそう話すと星峰は頷き


「ええ、だから一度例の手で接触を図ってみようと思う。リスクはあるけどね」


と此方から何かを仕掛ける事を告げる。

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