第313話 昔なじみの基地司令
兵士に案内されるままに三人は基地司令の元へと向かう。そして基地司令と会うと
「ようこそおいで下さいました、天之御殿下。お久しぶりでございますね」
「そうだね、もう何年もあってなかったからね」
と会話を始める。その顔にもすぐ隣にいる空弧の顔にも先程までの険しさはなく、何処か穏やかな笑顔を感じる。
「それで、例の部隊についてですが、天之御殿下の予想通り、その兵士の経歴は全て出鱈目、一体何時加わったのかも分からない兵士ばかりでした。そしてそんな兵士が堂々と出撃しているとなると、これはやはりここの中に居るブントが編成したと考えられます」
だがその和やかな空気は一瞬で終わりを告げる。指令の発したこの言葉がきっかけとなって。
「つまり、部隊を編成出来る程の権限が与えられた中にブントが入り込んでいると言う事ね」
空弧がそう続けると基地司令は
「そういう事になりますね、空弧ちゃん。もし今回の指揮を執っていた奴がそうなのであれば既に遠方に責任を取って左遷させていますが、違う奴であった場合は……」
と不安げな声を上げ、それを聞いた空弧も
「ええ、此れからも同じことが繰り返される可能性があるわね。しかも内部にブントが入り込んでいるのなら何かと理由をつけて身元照合の強化に反対してくる筈。
早く見つけ出さないと内部から腐敗しかねないわ」
と不安を露にする。
「そうね、内包の毒は早く解毒しないと。ところで……」
「ああ、司令が私をちゃん付で呼んだことについては深い意味はないわ。私と天之御
様、そして司令はずっと昔から親しくしていたから」
星峰が何かを言いかけると空弧はそれを制し、彼女が気になっているであろう部分を先手を取って解説する。これまでの経験から何となくではある物の、星峰と空弧の間には繋がりが出来つつあった。
「貴女が例の協力者なのですね。天之御殿下からお話は伺っております」
そういうと司令は星峰に対しても一例をする。それを見た星峰も一礼し、同時に何となくではある物の、司令からは安心感を感じるのであった。
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