第296話 地下に広がるのは楽園?それとも……

コンスタリオの言葉に危機感を覚え、三人は周囲を見渡し地上へと戻れそうな場所を探す。しかし少なくとも周囲にあるのは残骸ばかりであり、地上に出られそうな階段や通路は見つからなかった。


「どうやらここから直接地上に出るのは不可能みたいね。なら動くしかないわ」


コンスタリオがそういうとモイスとシレットも黙って頷き、三人はその場から動き出す。そして少し進むと三人の前に先史遺産の兵器が現れる。


「オマエタチ……消す……」


そう声を出すとその兵器は三人に手部分の機関銃を向け、乱射してくる。三人は分散してそれを躱し、その隙を突いてコンスタリオが接近して兵器本体の動力部分をナイフで貫き、その動きを停止させる。


「この兵器、今明らかにしゃべってませんでした?」


シレットがそう口にする。そう思うのも当然であった、実際に言葉を発していたのだから。


「確かにそう思えたけど……今はそれを話している余裕はないわね。それにここで動く兵器が現れたって事は魔神族はこっちには来ていないって事になる。早く脱出しないと兵器に追われることになりかねないわ」


コンスタリオはそう言ってシレットに考えるのを後回しにする様に間接的に促す者の、その内心では自身も又同様の疑問を抱いていた。だがそれを考える余裕は今の自分達にはない、それを分かっているからこそシレットにそう声をかけたのだ。そうする事で自分も又現状に意識を戻す為に。

停止した兵器を確認しつつ、三人は更に足を進めていく。するとその先にはこれまでと明らかに違う空間が広がっていた。


「何なのここ……今までと雰囲気がまるで違う……」


モイスとシレットはもとより、コンスタリオもその光景には困惑を隠せなかった。何しろそこはここまでの無機質な地下とは違い、明らかに生活感のある都市の様な空間が広がっていたからだ。

その広大さはブエルスやキャベルはおろか、ワンカーポに勝るとも劣らない規模だった。

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