第282話 路線図が示す先

「ここは……どうやらあの車両と線路の管制室の様ね。だとすると前のモニターに表示されているのは恐らく線路の進路図」


中を見て直ぐにその全体を見渡す星峰、その速さに他の面々は顔や声にこそ出さないものの、内心では凄さを感じずにはいられなかった。天之御と同等、或いはそれ以上の速さで現状を確認しているからだ。


「だとしたらここを調べればこの線路上に何があるのかを知る事が出来るのでは?」

「そうなるわね。でもその前にこの図だけで断定出来る事がある」


空弧の提案を肯定しつつもその直前に何かを付け足す星峰、だがその顔からすると本当に何か断言出来る物があるのだろう。そう考えるのは容易だった。


「何が断定出来るんだ?」


その内容について八咫が尋ねると星峰は


「この路線図から考えて既にワンカーポ全域にこの線路が張り巡らされている事、そして行く行くは他の大陸にも拡張しようとしている事、この二点よ」


と告げる。それを聞いた他の一同は思わず顔を歪める。星峰の見抜く力に関心や驚きを見せた訳ではない。予測が当たっていれば大変な脅威になる事実を星峰が告げたからである。


「ど、どういう事なんです!?大陸全土にって……それに他の……」


岬が明らかに動揺した声を上げると星峰は


「順を追って説明するわね。まず前者の全域について、それはもうこの全体図がこれだけ大規模な線路を表示している事から明らかよ・そして出入り口らしき場所、此れと地上の地図を照らし合わせると全てブント側の街中になるのよ」


と告げて前のモニターに表示されている地図と地上の地図を重ね合わせ、それが一致する事を確認する。だがそれだけではなかった、ブント側ではない街の地下にも既に線路が敷かれていたという事実も判明する。


「ブント側じゃない街の地下にも線路が……と言う事は」

「ええ、ブントは地下からの奇襲で一気に大陸全土を支配下に収めるつもりだったのかもしれないわね。もし決戦が遅れていたらと思うと悪寒が走るわ」


涙名と星峰の会話に他の面々も思わず身を震わせる。星峰もそれを察したのか、一瞬だけ周囲を見渡す。そしてそれが終わると


「そしてもう一つ、他の大陸についてだけど、此れも路線図を見れば分かる通り、外部に拡張しようとしていると考えられる箇所が幾つかあるわ。そしてその内の一つが向かっているのが……」


と言葉を続け、それを言いながら路線図をずらしていく。そして最後に指し示された場所を見て一同は


「!!」


と顔色を更に険しくする。

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