第256話 オアシスに潜む魔
「え……それはどういう事です?」
先程まで不満気な顔を壁ていたシレットの表情が思わず変わり、それに続く言葉も困惑の色を滲ませていた。コンスタリオが肯定するとは思っていなかったのだ。
「司令官はまだ反応しか感知されていないにも関わらず福音、脅威という言葉を用いていた。だけど反応だけでそこまで言い切れるとは思えない。恐らく上層部の間ではそれが何なのか、少なくとも検討に値する材料が揃っている、そう考えてまず間違いないわ」
シレットの問いかけにコンスタリオはこう返す。その返しを聞いて
「つまり、上層部は今回の一件で反応した物を知っていると?」
「まだ具体的な正体まで知っているとは限らないけど、私達の知らない所で何かが蠢いている、その可能性は考えられるわね」
続くシレットの言葉にも続けて冷静に返すコンスタリオ。その言葉を聞いた後
「ちっ、あまりいい気分じゃねえな。こう知らないところで物事が動くってのは」
とモイスは露骨に不満を口や顔に浮かべる。それを見たコンスタリオは
「……そうね」
と何時もの様に諭すのではなく、モイスに賛同する姿勢を示す。それはコンスタリオも又この決定に少なからず不満を抱いている事を意味していた。
「私たちの知らない所で何かが蠢いている。だとしたらスターの一件もそれと関連しているの?」
一週間たっても消えず、寧ろ存在感を増しつつあるざわつき、そこに今回の一件が加わり、コンスタリオの疑念は更に膨らんでいた。だがその膨らみを萎ませる間もなく、一行は目的地であるオアシスへと辿り着く。
オアシスに辿り着いた人族部隊は早速調査を開始するが、少なくとも見た限りでは特に異常は見られず、ただ水飲み場があるだけであった。
「本当にここが目的地なんですか?全く何も起こっていないように見えるけど」
シレットが思わずそう口にしてしまう程そこは静寂に包まれていた。
「全くだぜ、やっぱり反応だけじゃ……」
モイスもそれに賛同しかけ、その言葉に続けようとするがその時飛行船のレーダーが何かの反応を感知し、警報が鳴り始める。
「何!?いきなり警報が鳴り始めたけど……」
突然の事に困惑するシレット、一方コンスタリオはメインシステムの操作パネルを起動させ、何に反応しているのかを特定しようとする。
「これは……砂の下から熱源反応多数!!正体は特定出来ないわ!!」
パネルに触れたコンスタリオは反応の原因は突き止めるものの、それが何なのかは分からなかった。
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