第246話 焦燥が生む隙
「西大陸から人族部隊が出撃しています。部隊総数から考えると侵攻部隊と言うよりは偵察部隊の様ですが……」
警報を聞いた兵士が状況を解析し天之御に伝える。
「侵攻では無く偵察?どこに向かっているの」
その行く先が気掛かりな天之御は直ぐ様続けての調査を命じる。すると兵士は
「あくまで予測ですが、先日皆様が向かわれた火山に向かっていると推測されます」
と返答する。
「あの火山に向かっている?だとすると少し厄介な事になりそうですね……」
岬がそう答えるのも当然だった、あの火山には先史遺産が存在し、実際に自身を劣勢に追い込んできたのだから。当然その顔にも陰りが見える。
「ええ、先史遺産がもしまだ残っていて、それを奴等に回収されでもしたら厄介な事になるのは間違いないわ。だからそれよりも先に……それに」
「ああ、もう一つ間違い無い事が出来たね」
星峰の言葉に天之御が続ける、この展開に他の面々は慣れつつも不安を感じていた。この直後には大抵あまり良くない方向への会話が続くからだ。そして今回も
「あの指揮官は間違いなくブント側の魔人族であり、今回の一件で焦ってブントに火山の事を伝えた、そんな所だろう」
とその例に漏れなかった。
「で、どうするの?」
星峰が敢えて問いかけるがその返答は当然
「決まってるよ、奴等を迎撃する。まあ、まずはあの指揮官の部隊にやらせるけどね。自分のした事の責任は取らせる」
と初めから決まっていたかのようなやり取りだった。
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