第240話 踏み躙られる生命
「なっ……こ、これは……」
その部屋の中には無数の大型の、其れこそ人が入る位の大きさの試験管が多数置いてあった、否実際人は入っていた。両目を閉じ、足を抱えて丸くなった状態で全ての試験管の中に。その光景を見た一同は言葉を失う。
「何なのこれ……目を閉じた人が沢山……」
唖然としているのか、衝撃が大きいのか、空弧が辛うじて声を出すもののその内容は驚きしか出てこない。すると星峰が近くに何かの記録装置らしき機械を見つけ、その電源を入れて中身を調べ始める。すると
「どうやらこの人達はここで、この中で作り出された人造生命体の様ね。それも、ある特定の分野に特化させる能力が設定された」
と語り始める。その眼先には多数のデータが映し出されたモニターがあり、そのモニターには今星峰が告げた事が余す所なく記載されていた。更に星峰は
「更に恐ろしいのはこれだけじゃないわよ。他のデータも目にしてみたのだけど、目を凝らしてよく見て」
と言って別のデータも見せる。すると今度は顔写真入りのデータが表示される。
「これの何処が恐ろしいの?」
岬は星峰に問いかける。どうやら星峰の発言の意図が今一つ掴み切れていない様子だ。そんな岬に対し星峰は
「この顔写真が移っている人物、全員ワンカーポの住民なの」
と告げる。それを聞いた一同はまたしても驚きの顔を浮かべる、この部屋に入ってからの衝撃は終わりという物が見えなかった。
「ほ、本当なのかそれは!?」
「ええ、例を上げるとここに写っている人物はワンカーポにコンスタリオ小隊が招かれた際、街ですれ違った人物よ。スパイ情報を提供した事からシレットが密かに撮影した写真の記録を送ってくれてそれと照合したから間違いないわ」
驚きの声を上げる八咫に返答し、更にその写真も表示させる星峰、その言葉は事実であり、同一人物の顔が映し出される。
「なら、つまりブントは……」
「独自の技術か先史遺産の技術かは分からないけど、少なくとも人造的に人を作り出す技術を有している。その点は確実だね」
涙名に続けて天之御が言葉を繋げ
「なら、あの兵器は用心棒って所だね。ここを守る為の」
と一言を述べる。その回答に意義を唱える者は居なかった。だがその時、突然大きな警報音が鳴り始める。
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