第239話 魔窟の奥地
「人の形をした兵器……見ているだけで気分が悪くなるわね!!狐妖術、紫色の除水!!」
空弧はそういうと目の前に出現させた紫の球体から水飛沫を放ち、その水を兵器に当てる。すると水が当たった兵器は見る見る内に溶け出し、跡形も無く消え去る。
「やっぱり兵器はまだ現存している……だとしたらこの奥にあるのは……」
そう語る岬の言葉にはどこか言い知れぬ不安が感じられた。それが単なる取り越し苦労ではなく、何処か真実味を帯びている事はその場に居る全員が感じていた。
それ故なのか、その場に居る全員が敢えてその言葉に何かを続ける事はしなかった。
「不安を確かめる為にも急ごう!!」
天之御がそう言って急かすと一行は急いで先へと向かう。そして暫く先に進むと再び兵器の集団が出現する。それを確認した星峰は無言のまま剣を抜き、素早く兵器の懐に飛び込んで一刀両断に切り捨てていく。その後に残ったのは兵器の残骸のみであった。その後も度々兵器との交戦は続くものの、着実に一同は奥へとその足を進めつつあった。だがその奥地で一同の目に入ったのはこれまでの光景とは明らかに異なる異質な入り口であった。
「これは……ここを守っているのがさっきの兵器なの?」
岬が言うこことは目の前に明らかに何かの入り口らしき風景があり、更にその外観も明らかに機械を前面に出している建造物となっていた。その空気は何処か寒々しく、生命の鼓動は感じられない。
「違う場所ではあるけど、この寒々しい空気、似ている……」
天之御はその空気に覚えがある様子だ。そしてそれは他の面々も同じらしく、その発言に続いてその場に居る全員が頷く。
「兎に角、入ってみましょう。似ているのだとしたら尚の事ここを放置して置く訳には行きません」
星峰がそう促すと一同はその建造物の中に入って行く。中は入り口からは想像出来ないほど広く、且つ何かの施設であることは明白である光景が広がっていた。その中を一同は周囲を見渡しながら進んでいく。そしてある場所に辿り着くと
「ここに何かの部屋があるな」
と八咫が呟く、だがそこは明らかに壁にしか見えなかった。
「何かの部屋がある?ただの壁にしか……」
涙名がそう言いかけるが八咫は壁に手を当て、何かの妖力を注ぐ。すると壁の一部が動き出し、その奥から本当に部屋が現れる。
「な、言っただろ」
本当に部屋が隠されていた事に驚きを隠せない涙名、だがその部屋の中を見た時、その顔はより驚愕することとなった。
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