第233話 仲間ですら……
今回侵攻した魔神族の部隊はブント側だった。天之御はそれを承知の上で侵攻を命じた。それは双方がブントであるが故に人族側の戦力を把握する為の時間が稼げると思ったからだ。だがその予想に反して決着は呆気なくついた。アンナースの活躍によって。
「人族側の少女狙撃手がかなりの兵士を狙撃していましたね。それも躊躇う事無く」
「ええ、彼女がブントの構成員であることは既に調べがついています。ですがそれでも容赦なく引き金を引き続けたという事は……」
「少なくとも他のブントの構成員とは何かが違うのは確実か」
天之御と共に一部始終を見ていた岬、星峰、八咫もアンナースについてそれぞれ口々に語る。それ程アンナースという存在はイレギュラーだったのだ。
「違う場所は精神構造か、それとも階級か……もし後者で且つ、彼女がブントの上位幹部だったりしたら厄介だね。あの街の建設にブントが組織的に関わっている事になるのだから」
涙名が深刻な顔を浮かべる。そして星峰も
「ええ、そして幹部クラスがコンスタリオ小隊に接近しているのだとすれば、それはブントが益々コンスタリオ小隊を欲しているという事になる。その目的が何であれ碌でもない事になるのは避けられないわ」
と事態の深刻さを推察する。
「碌でもない事……それに加えて許せません」
そう語る岬の声には静かだが確実な怒りが感じられた。
「岬……許せないって……」
八咫が思わず問いかけると岬は
「だってそうでしょう?ブント同士とは言え奴等は仲間同士ですら平気で殺し合う連中だってことが今回の一件で分かりました。それを許す訳には行きません……」
とその怒りを明確に口に出す。それを聞いた天之御は
「……そうだね、確かにそれは許せない」
と岬を否定はせず、その怒りを認めるのであった。それに続けて
「今後はあのタウンについて要素を見つつ、小競り合いを続けることになると思う。そして一方で先史遺産の調査も行う、これが最善の策だと思うけど異論は?」
と問いかける。だが異論が出る事は無かった、それが最善の策だと全員が一致していたからだ。
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