第232話 アンナースの謎
「そうですか、アンナースが……」
「ええ、今回の侵攻阻止は彼女の活躍によるところが大きいでしょう。これで魔神族の動きが鈍ればいいのですが」
コンスタリオがアンナースの活躍を司令に伝えるが、司令の顔は何処か複雑な印象だった。無理矢理にでも笑顔を作ろうとしている、そんな風に見えるのだ。
「あの……司令?」
コンスタリオに声をかけられ、司令はハッとした表情を浮かべて慌てて笑顔を作る。それ程までにその表情は分かり易い物であった。
「何でしょうか?コンスタリオ隊長」
コンスタリオに返答する司令、その声は冷静な様だが、それが逆に先程の顔への疑念を深める。
「アンナースについて何か思う所があるのですか?先程からその様に見えるのですが」
その問いかけはあまりにも直球過ぎるモンド絵あった、だがそれは逆に言えば態々回りくどくいう必要も無い、それほどまでに司令の顔は何かを物語っている様に見えたのだ。
「いえ、まだ彼女は幼いのに我が方のエースを務めてくれている。ですがこれで良いのか正直判断しかねる時があるのです。本来なら穏やかに過ごせている筈なのに……」
「そうですね……なら私達に出来る事はその穏やかな日々を早くもたらす事でしょう」
そういうとコンスタリオは下がっていく、だがその内心は今の司令の返答にどこか引っかかる物を残していた。報告が終わるのを待っていたシレットとモイスがコンスタリオに合流し部屋の外で聞いていた事を話し始める。
「アンナースは幼いって言ってましたけど彼女、一体何歳なんでしょう?確かにまだ子供って雰囲気はありましたけど」
「あの軽さもそれ故なのかもな」
アンナースの軽い言動にどこか納得がいった風のシレットとモイス、それにはコンスタリオも頷く。一方、そのアンナースはというとタウン内の別の人目につかない場所で
「今日の部隊にも居なかった……あたしの最大の標的。あたし達の為に奴の心臓には必ず風穴を開ける!!」
と何かの決意を表明していた。その決意は何を意味するのだろうか?
一方その頃、ブエルスでは今回の魔神族部隊の敗退の一部始終を見ていた天之御は
「今回の戦場はコントの様にはならなかったね。こちらの予想に反して」
と呟いていた。
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