第229話 真実か虚構か
「それよりも気になるのは……」
しれっとがそう言いかけるが、その内容は言わずとも残りの二人も分かっていた。当然
「火山に何故魔神族が向かい、且つ活動を停止させたのかだろ」
モイスがその点を言い当てるとシレットは頷き
「アンナースの言う通り、魔神族が近くの同族を守る為にやったという線は考えられなくはないけど、そう考えるとこれまで戦ってきた魔神族の内、特に同族を見捨てるような戦い方の魔神族とは明らかに矛盾します。この矛盾は……」
「……もしかしたら魔神族も一枚岩という訳ではないのかも」
自身の疑問を続けて口にするシレットに対し返答を見せるコンスタリオ。その顔は神妙である様にも見え、又一方では自分の判断に迷っている様にも見える。
「一枚岩ではないという事はつまり、魔神族にも情があるという事になります。となるとその情がある側は明らかにブエルス侵攻を行った部隊。だとしたらスターは……」
「生存しているのは確実でしょうけど、もしかしたらそいつらが逃がしてくれたのかも。最も、その裏に何か目的がある可能性は否定できないけどね。
そして魔神族の体となっている事で情報を集められるようになっている。もしスターの逃走が手引きによるものだとしたらその魔神族は間接的にもう一方の魔神族を叩こうとしているのかもしれないわ」
シレットの更なる疑問にも顔を変えずに返答するコンスタリオ、やはりその判断には迷いがあるのだろう。だが一方で真実味も帯びていた。
「魔神族同士の内乱か……こっちも笑える立場ではねえけど、それを上手く利用してえところだ。だがそれも中々難しい……」
モイスがそう言いかけたその時、エリア内に警報が鳴り始める。
「警報!?しかもこのパターンは……」
コンスタリオがそう言いかけるとエリア内に放送がかかる。
「総員に次ぐ、総員に次ぐ!!このエリアに魔神族部隊が接近中、至急迎撃せよ!!」
それは魔神族の襲撃を告げる内容だった。それを聞いたコンスタリオ小隊は顔を引き締めて司令部へと向かう。そして到着すると
「コンスタリオ小隊の皆さん!!魔神族部隊がこのエリアに接近しています。今場所を特定しますので至急迎撃をお願いします」
と司令官から要請され、コンスタリオは頷いてモイス、シレットと共に魔神族の部隊展開エリアへと向かう。
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