第226話 そこにいる訳
「あれは間違いなくコンスタリオ小隊……一体あそこで何を?」
星峰は驚きを隠せない様子だ。渦中の場所に嘗ての仲間が居る、その状況に動揺しない方が無理はある。それを悟ったのか、他の面々も敢えてその事について言及はしなかった。一方、現地のコンスタリオ小隊は
「分かりました、出はこれから宜しくお願いします」
と何処かの人族に敬礼し、その場から離れていった。
「しかし、こんな何も無い所に新たにタウンを建設しようなんて大胆な事するよな~」
モイスがそう呟くと
「そうね、ここは昔から荒地でずっと放置されていたといわれている場所なのに。そこを人族が住める場所に変えていくなんて並大抵の事じゃないわよ。それを敢えてするっていうんだから凄いわよね」
とシレットもそれに同意する。そこにコンスタリオがやってきて
「二人供、感想を言い合うのは結構だけど失礼だけは無い様にね。私達の任務は建設部隊の護衛とはいえ関係性に隙間風を吹かせる様な事があってはならないんだから」
と二人に釘を刺す。それを聞いたモイスとシレットは分かっていると言いたげに黙って首を縦に振る。
「だけど突然のお話でしたね、西大陸に新たなタウンを建てるからその護衛をキャベルにお願いしたいなんて」
「確かにそれはそうね。西大陸との関係作りは願っても無い事だから了承したけど、それにしても急な話ではあったわね」
シレットが話を続けるとその内容にはコンスタリオも同意する。
~数時間前 キャベル司令室~
「西大陸の部隊の護衛……ですか?」
コンスタリオが質問口調でそう告げる。その周囲に集まっている兵士はざわつき、困惑している。どうやら突然集められて唐突にその事を告げられ、混乱している様だ。そんな兵士達に兵士長は
「そうだ、昨日西大陸のイスールより要請があり、イスールを中心に新たなタウンを建設する計画を実行するとの事だ。だが数日前の魔人族襲撃を受け、防衛体制に不安がある為に我々に護衛と協力の要請が来たという訳だ」
と淡々と説明する。その様子は兵士を一括しようとしている様にもただ職務を遂行しているだけともどちらとも取れる。
「何とも急な話の上、既に計画が前提となっている事もあり、キャベル側はこの申し出を受けるのに否定的だ。だが我々としてはこれを西大陸との関係性作りの為の機会と捕え、この申し出を受けようと思う」
「同意します。西大陸は只でさえそれぞれがバラバラに動いている大陸です。協力関係は可能な限り築いていくべきだと思います」
兵士長の発言に真っ先に同意したのはコンスタリオであった、その結果コンスタリオ小隊が派遣される事になった。
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