第210話 赤の中で輝く青

そこはこれまで以上に熱気が溢れ、並みの存在であれば入っただけで蒸発しかねない程だ。それだけでも危険を感じるが、星峰と涙名は直前の会話から更に危機感を募らせていた。先史遺産が自然災害を引き起こす、そんな話はこれまで聞いた事が無かったからだ。


「なんて熱気なの……長くいると干からびてしまいそうになるわ」


空弧がそう呟くと岬は


「やっぱり妙よ!!いくら火山と入っても普段はここまで熱気が充満していたりはしない。やっぱりこれは……」


と話す。その口調は完全に確証を得たという趣の強さがあった。やはり岬とこの火山、いやこの大陸は何か関連性がある、今の会話のトーンから星峰はそう考えざるを得なかった。


「余り長居は出来ない。捜索は早急に行おう」


天之御がそういうと一同は一斉に首を縦に振り、すぐさま捜索を開始する。しかし所々に溶岩が煮えたぎり、熱気による視界の悪さも相まって中々思う様に捜索をする事が出来ず、時間を取られてしまう。


「くっ、このままでは……」


一同は汗を滴らせながら捜索を続ける。すると涙名が火口近くで


「ねえ、あそこに何かあるよ!!」


と言ってとある場所を指差す。その先には確かに何かがあった、赤く煮えたぎる火山には不釣り合いな青白い光を放つ何かが。一同が近付いてみるとそれは青白い光を放つ巨大な球体であった。


「これも……先史遺産なの?この周囲に遺跡は見当たらないけど」


球体を見て星峰は呟く。すると天之御は


「可能性としては考えられるね。今まで僕達が見つけてきた先史遺産も全部が全部遺跡の中に合った訳じゃない。技術の産物だけが外に出ていたケースも少数だけどあったからね。この辺りの説明が不足していたのは謝罪するよ」


と告げ、同時に星峰と涙名に説明不足を謝罪する。だが二人にとって気掛かりなのは今の説明不足ではなく、先程の悲劇の事であった。そして球体に近づこうとしたその瞬間、青白い光は更に強まり一同の目を眩ませる。

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