その影の正体は星峰であった。星峰はコンスタリオ小隊の姿を直接確認するとそのまま転移妖術で立ち去りブエルスへと帰還する。そしてブエルスに帰還すると何時もの様に天之御達を交えて話し合うのであった。

「コンスタリオ小隊は西大陸の人族部隊と接触した？」

「ええ、オンディーズタウンの部隊と接触してくれたわ。あそこもブント側の部隊ではあるけど、他の部隊と比べてブントの影響力は低い。司令が優秀なのかもしれないわ」

天之御の問いかけに笑顔で返答する星峰、その笑顔は満面ともやや皮肉っているともとれる複雑な物であった。

「しかし、西大陸でブントの動きが活発になっているというのは余り良い状況とは言えないな。そのせいで此方の指示を待たず、独断で動き回る部隊も増えている。放置すると大陸全土で内乱が勃発しかねない」

八咫がそう告げると星峰は

「ええ、コンスタリオ小隊が人族部隊と接触してくれた事で少しは独断での行動が減ってくれるといいのだけど」

と現状が魔人族側にとっても望ましくない事を肯定しつつ、コンスタリオ小隊を接触させた目的を話す。

「西大陸からは現時点でも先史遺産が他より多く発掘されている。もし他にも未発見の先史遺産があって、且つそれの発掘をブントが狙っているのだとしたら阻止する必要があるわね。けど……」

「岬の言いたい事は分かっているわ。西の大陸は全ての街が独自に政治を執り行っている。逆に言えば全体が纏まっていない、それ故に纏めて管理するという事が今の時点では出来ていない。ブントの影響で」

岬が苦虫を噛み潰した様な表情を浮かべ、その後に空弧が続く。だがその表情は只噛み潰しただけとは思えなかった。そして続く空弧の声も又、何か訳ありなのではないかと思える。

「兎に角、現状では魔人族側のブントをコンスタリオ小隊に、人族側のブントを僕達が牽制し合うしかない。しかしここでブントが考えてくるのが恐らく……」

「ええ、私達とコンスタリオ小隊をぶつけ合わせる事でしょうね」

天之御がブントの行動を予測すると星峰もそれに同意し、その発言を聞いた他の面々も満場一致で首を縦に振る。

「それで、一つ気になるんだけど、西の大陸の街の中でも特に八代城街付近は魔神族側のブントが活発に活動しているんだ。だから近い内にそこに抜き打ち審査の名目で探りを入れてみようと思う」

「つまり……待っているのではなく、此方から動いていくという訳ですね」

豊雲の返答に対し、天之御は躊躇う事無く首を縦に振る。

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