第202話 裁きの赤い光

だがその直後、一同の背後から砂煙が上がり、ガサッと大きな音が聞こえてくる。


「何!?」


そう言ってシレットが振り返ると土竜の様な手を持った魔神族の兵士がおり、一同を通り過ぎてタウンの方へと向かっていく。


「こいつら、地面の中を移動して奇襲をかけるつもりか!!」


モイスが慌てて引き返し、生物の迎撃に向かおうとするが魔神族の兵士の移動速度はこれまでの兵士より格段に速く追いつけそうにない。これまでが順調だっただけにモイスの顔に隠せない陰りが映る。だがその直後上空から赤い光が放たれ魔神族の兵士数体に直撃する。その光を浴びた魔神族の兵士は一瞬で消滅してしまう。


「え……今のって……」


シレットはそう呟くと光が降りてきた空を見上げる。だがそこには何も見えない、しかしシレットには分かっていた。そこには自分達が乗ってきた飛空艇が光学迷彩で存在している事が。更にそこから次々と兵器が降下し、その兵器の攻撃で光を浴びなかった魔神族兵士も次々と討たれていく。そして兵士は全滅し、魔神族の奇襲は失敗に終わる。


「そんな手には乗らないわよ!!そしてこれ以上好きにはさせない。ウェーブ・キック!!」


前線に出ていたコンスタリオはそう叫び、蹴りを連打して波の様な衝撃波を連続して放ち、前方に居た魔神族兵士を薙ぎ倒していく。それを見ていたモイスとコンスタリオもそれぞれ


「バスター・ショット!!」

「ライトニング・ブラスター!!」


と言って散弾と雷を放ち、広範囲の魔神族兵士を一掃する。彼等の活躍により更なる勢いに乗った人族部隊はそのまま魔神族部隊を追い込み、全滅させる事に成功する。


「こちらオンディーズタウン防衛部隊指令、戦闘宙域の魔神族反応全て消失しています」


防衛部隊指令からのその連絡で魔神族の全滅を確認すると人族部隊は直ちにオンディーズタウンへと引き返し、防衛部隊も含めて情報交換を行う。交戦があった以上このまま放置という訳には行かなかったからだ。

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