第162話 許しがたき咎
だが人族部隊も又、全く動じる事無く迎撃を始める。移動車が砲撃を始め、魔法部隊が魔法を遠距離から放ってくる。星峰はそれらを掻い潜りつつ光学迷彩車へと接近する。だが光学迷彩車は光学迷彩を展開し、その場から離れようとする。
「逃がしはしないわ……何ですって!?」
前回と同様に心を読む妖術を使って場所を特定しようとする星峰だが力を発動した瞬間、驚愕の表情を浮かべる。
「星峰、どうしたの!?」
何時もとは明らかに違う星峰の声に天之御が呼びかけると星峰は
「この部隊は本命じゃなくて先鋒よ!!後続に本命が居るの。それもボツリシンを搭載した移動車を複数抱えている本命が!!」
と叫ぶ。ボツリシンという言葉を聞き、他の魔神族も顔色を変える。
「それって確か、星峰が最初に脱走した先でブントが使おうとしていた生物用の散布兵器よね!?」
空弧が確認する様に聞く。
「ええ、それも街全体の生命を死滅させてしまう程の恐ろしい範囲に作用するね。それが複数となると、恐らく奴等は……」
「それを泉野町に使うつもりなのか、それとも持ち込むつもりなのかは分からないけど何れにしてもそれを許す訳には行かない!!」
星峰がより踏み込んだ解説をすると天之御はその目的を予測し叫ぶ。その声には静かだが明らかに怒りが感じられた。
「なら俺が先行して叩く!!」
八咫はそういうと羽を広げ、空を飛んで先行しようとするがそこに空弧が
「駄目!!散布兵器を搭載しているのも光学迷彩車だわ!!しかも既に展開してる」
と告げる。それは八咫には標的が狙えない事を意味していた。それを聞くと八咫は
「なら、目の前の敵を早く片づけるしかねえ!!」
と構えを取り直しそれに続く形で岬が前方に飛び出す。そして
「吹き飛ばせ!!幾重の神拳」
と言って前方に拳を振り翳し、その拳から衝撃波を放って人族部隊の兵士を吹き飛ばす。それで出来た隙間を潜って空弧が移動し
「狐妖術……白銀の点火」
といって何もない所に突然銀色の炎を出現させる。だがそこには移動中の先鋒部隊光学迷彩車が居た。炎に包まれる車を乗り捨て、中から人族部隊の兵士が出てくる。
「こいつらも行かせる訳には……もしかして最初動じなかったのはこれのせいなの?」
空弧は内心に疑念を抱く。
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