第135話 処罰という頸木
「今回の一件で沼島町のブントは少し大人しくなって貰わないとね」
その姿勢を崩さないまま天之御は語る。その様子は少し嫌味がかっているようにも見える。その言葉を聞いた空弧が
「大人しくなって貰う?しかし、部隊が撃退されたとはいえ沼島町にはまだまだ戦力があり、更に今回の一件はあくまで想定外の事態が起こったと主張してくるのでは?流石にそれだけでブントが大人しくなるとは思えないのですが…」
と疑念を口に出すと天之御は
「まあ、そう主張しては来るだろうね。でもそれは逆に言えば想定が甘かったという追及も出来る。流石に罰則は与えられないだろうけど、それでも今後勝手な事をするなと釘を刺すには十分な材料だよ」
と告げる。
「成程、つまり無くまで釘を刺す程度ですがブントを牽制し動きを取り辛くしておくと?」
「そう、流石に連続して失敗をやらかせばブント側も軍内部への影響力の観点から危機感を覚えるだろうからね」
岬がその意図を読み取ると天之御は更に言葉を続け、それを肯定する。その直後豊雲にこの一件を伝達するように指示を出し、命令を受けた豊雲は早速その伝達を伝えに行く。
「それにしても…コンスタリオ小隊と接点を持っておいたのが早くも役に立つとはね」
涙名はそう呟くと星峰と空弧、二人の顔を交互に見る。
「ええ、可能であればこのままブントの正体にも気付かせたいけど…流石にまだそこまではいかないでしょうね。今回の戦場も取り繕われた以上、人族部隊には必死に戦っている様に見られたでしょうし」
空弧がそう発言すると星峰も
「そうね。何か少しでも疑問を抱いてくれればいいのだけれど…」
と賛同する。
「それに今回の一件が人族部隊の勝利になったのは事実だ。奴等を勢いづかせるという訳には行かない。それは分かっているな」
八咫がそう告げると涙名は
「うん。だから次は此方が勝つ必要がある」」
と同意する言葉を続ける。
「さて、その次は何時来るのかな?」
そう呟いたのは天之御だった。何時もながら彼の言葉は何処か捉え所のなさがある。
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