第132話 歪なる影

「しまった!!突破を…」


シレットが気付いて迎撃に向かうが兵士の方が動きが早く内部へと突入しようとする。だが魔神族が街中に近づこうとしたその時、街中より兵器が出現して魔神族を蹴散らす。


「くっ、虎の子を用意していたのが幸いだったか…」


直後にサウロタウンの兵士がそう漏らす。兵器はそのまま魔神族とキャベルから来たブエルス部隊の混戦に乱入し、防衛部隊を援護しつつ魔神族を蹴散らしていく。その勢いに乗って人族部隊も攻撃の勢いを増していき、瞬く間に魔神族を殲滅する事が出来た。魔神族の全滅を確認するとコンスタリオは


「町の防衛が間に合って良かったです。しかし…一体何故魔神族はこの町を狙ってきたのでしょうか…」


と防衛部隊の兵士に対して喜びとも質問ともとれる発言をする。それを聞いた兵士は


「恐らくこの町を制圧し、それを足掛かりに更なる振興を狙ったのではないでしょうか?こちら側が劣勢でしたし、助力に本当に感謝しています」


と返答する。それを聞いたモイスは


「そうか、それは何よりだ。でもそれだったら何で兵器を使わなかったんだ?あれを使えば…」


と兵器を温存していた事を問いかける。すると兵士は


「それは…このタウンの兵器は実をいうとまだあまり配備されていないんです。キャベルの様に大規模に配備されている訳ではない以上、容易には使えません。その為に温存していたのですが…」


と返答する。


「左様でございますか。では、私達はこれで。今回は少し無理を言って出撃させてもらった以上、余り長居は出来ませんので」


兵士長がそう告げるとキャベルから来た部隊はすぐさまとんぼ返りしていき、それを見送りながらサウロタウンの兵士は敬礼する。だがその直後、その顔は何処か歪になるのであった。そしてこの一部始終を遠くから眺める影が居る。それは星峰だった。星峰は防衛部隊の帰還を見届けると何も言わずに転移妖術で何処かへと移動する。

キャベルに帰還したコンスタリオ達は移動車を降り、それぞれの部屋に戻って休息を取る筈だった。だがコンスタリオが部屋に戻って暫くすると扉をノックする音が聞こえる。


「はい」


とコンスタリオが返答すると


「私とモイスです」


というシレットの声が聞こえてくる。


「どうぞ」


コンスタリオがそういうとシレットとモイスが中に入ってくる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る