第131話 サウロタウン防衛線

「何とか出撃は出来たけど…サウロタウン、間に合うの…」


移動車の中で不安な顔を浮かべたコンスタリオが呟く。


「最高速度で移動してはいますが何しろ進路上は魔神族に制圧されているエリアが多く、それ故迂回をかなり余儀なくされています。間に合ってくれればいいとしか正直言いようがない」


同じ不安を兵士長も抱えていたのかコンスタリオの呟きに呼応するかのような返答をする。それだけ不安が強いのだろう。それを感じ取ったのか、モイスとシレットは特に何も言う事は無かった。そのまま迂回を繰り返しサウロタウンが肉眼で確認出来る場所まで移動すると


「前方にサウロタウン駐在軍と魔神族部隊を確認、状況はサウロタウン側に不利。しかし、魔神族側に幹部はいない模様」


と言う兵士の報告が入る。


「こちら側に不利?具体的にはどうなの?映像を見せて!!」


コンスタリオはそう告げると兵士に戦場の映像を出す様に指示する。その指示に従った兵士がモニターを出し、前方の交戦光景を映し出すとそこにはタウンへの侵攻をぎりぎりで食い止めるサウロタウン駐在軍と大型兵士を含め、それを押し込む魔神族の兵士達が映っていた。


「またあの兵士か、性懲りもなく!!」


モイスが机を叩きながらそう叫ぶとコンスタリオも


「そうね、あれをあそこから進ませるわけにはいかないわ!!」


と続け、そのまま戦闘態勢を整える。そして移動車が戦場に近づいていくと


「主砲、撃ち方初め!!」


という兵士長の声が響き、移動車が主砲を発射して魔神族の兵士を一掃しつつ前方に割って入る空間を作る。そしてそこに移動車を割り込ませるとすかさず乗っていた兵士が戦闘態勢を取りながら降りてくる。それを見たサウロタウンの兵士が


「貴方方は…」


と聞くとコンスタリオが


「ブエルス防衛部隊です。ここが襲撃されているとの情報を聞き、救援に参りました」


と返答する。それを聞いた兵士は


「そ、そうですか…お力添えに感謝します」


というと同時にどこか不満気に歯を食いしばる。だがその様子をコンスタリオは見逃さなかった。それは悔しさが故なのか、それとも…


「ちっ、邪魔すんじゃねえ!!」


それを考える間もなく、魔神族の兵士は攻撃を仕掛けてくる。だが情報が正解であり、又救援に間に合った人族部隊の士気は高く魔神族の攻撃をものともせず躱し次々と反撃で返り討ちにしていく。だがこの流れを見たコンスタリオは


「やはり違う…幹部が居る時といない時で魔神族がまるで違う…ここまで続くと最早偶然とは思えない」


と前々から感じていた違和感を更に強める。その強めた隙を突かれたのか、大型兵士二体を含む少数部隊がブエルス防衛部隊をすり抜けサウロタウンに接近していく。

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