第129話 唐突な連絡で

「確かサウロタウンもブント側の町だったわね。となるとその目的は自作自演による戦力の増強か、或いは誰かを誘い出そうという思惑か…そんな所でしょうね」


天之御に続き空弧もそう言い切る。そう遠くない昔に前例がある以上、そう考えるのも当然だった。


「だが、全くの放置という訳にも行くまい、どうする?」


八咫が少し困った顔でそう呟くと星峰は


「なら誘いに乗ってあげましょうか。但し…」


と言ってどこか不敵な笑みを浮かべる。その笑みから何か策略があると予測した天之御は


「ふふっ、乗るってどうやって?」


と乗り気な様子を見せる。


それから時間が過ぎ、翌日の朝キャベルではコンスタリオの自室にシレット、モイス、兵士長が険しい顔をして集まっていた。


「どうしましょう…いきなりこんな…」


険しさと共に動揺を隠せない声を上げるシレット。その目が見つめる先には彼等を険しい顔にしている原因があった。それは


「シレット、現在沼島町にサウロタウン新劇の為の魔神族の部隊が集結している。戦力はかなり多く、サウロタウンの戦力が全軍で反抗しても抗えるかどうか分からない。

まだ確定した情報ではないが警戒はしておいてほしい」


というスターからの文章通信が写された紙であった。


「サウロタウンへの侵攻を仮に許せば西側大陸への侵攻が更に強まり、魔神族に雪崩れ込まれかねません。そう考えるとここは阻止するべきなのでしょうが…」


コンスタリオはそう言いかけて言葉に詰まる。決してスターやこの文面を信用していないわけではない、だがそれでも踏み切れない。そう思わせる口調だった。


「ああ、スターの状況が状況とはいえ少し情報が曖昧だ…単なる居候に過ぎない我々が軍を動かせるか否か…」


兵士長もコンスタリオと同様、言葉に詰まる。そんな二人を見かねたのか、モイスは


「まあ、ここで俺達だけでグダグダ言ってても仕方ねえ、それよりも一度ダメ元で報告してみようぜ。もしかしたらって事があるかもしれねえ」


と動く様に促す。それを聞いたコンスタリオは


「…そうね。その方がいいかもしれないわね」


とモイスに同意しその場に居た面々はその紙を以ってキャベルの戦闘指揮官の元に向かう。そしてその紙に目を通した戦闘指揮官の返答は…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る