第125話 遺跡という名の要塞
建物の中は古びた外見とは裏腹に現在の軍事基地にも引けを取らない技術の機械で溢れ、更にその全てが起動し一行の前に迎撃システムとして立ち塞がってくる。壁や天井に仕掛けられたレーザー、次々と現れる兵器、それは敵陣突入と何ら変わらない緊張感を一行に与える。
「これが先史遺産…一つ入手するのも命がけって訳か」
「そう、故にブントも相応に戦力を割いてる。スリーリバーマウンテンの技術を抑える時も大変だったよ。下手をすれば外に出ていった兵器が麓の街を襲撃しかねなかったからね」
涙名がふとそう零すと天之御はその発言を後押しし、更に恐ろしい事実を告げる。
「現状、先史遺産のある遺跡は全ての大陸で少なくとも一つは確認されてる。いくつかブントに抑えられたものもある。だけど問題は単に抑えられていると言う事ではなく、その遺跡が町の近くにあると言う事なんだ」
と。その言葉が意味する事は星峰と涙名にも容易に想像はついた。
「幸いにも量産体制を整えるのを先決としているのか、今の所懸念される動きは見せてはいないわ。でも何時それが行われるか分からない。先史遺産についてはこの事も覚えておいてね」
空弧が念押しの様にそう告げる。それが意味する複数を理解するのは容易であった。
遺跡の罠や兵器を潜り抜け、一行が先へ進み、更なる地下へと降りていくとそこでこれまでの兵器とは明らかに違う大型の兵器を見つける。
「やっぱり…いやがったか」
兵器を見つけた八咫がそう呟くと涙名は
「やっぱりって事は、こいつは」
と察した様な物言いをし、それを補足するかのように
「ええ、お宝の番人ですよ。これまでも先史遺産の本命の前には大抵こういうのが居ましたから」
と岬が答える。
「なら、やるしかないですね」
星峰はそういうと先陣を切り、兵器に対して
「狐妖術…黄乱の雷電」
と言いながら右手をかざし、兵器に向かって雷を放つ。すると雷を受けた兵器はすぐさま機能を停止し、その場で動かなくなる。それを見た空弧は
「あの兵器を一撃で…今までこんな事は無かったのに。幾等兵器が雷に弱いとは言っても…」
と唖然とするが天之御は
「流石だね、星峰。兵器の接合部分を上手く狙い、そこを破壊する事で気の不全に陥らせるとは」
と冷静に今の事象を分析する。そう、確かに天之御の言う通り、星峰の放った雷は全て兵器の接合部分を攻撃していた。
「人族の兵器も同じ様な弱点を抱えていますからね、もしかしたらと思ったの。でもまさか上手くいくとは、自分でもちょっと驚いています。さあ、行きましょう」
と照れ隠しともとれる発言をする星峰、それを表現しているのかそのまま止まる事無く奥へと進んでいく。
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