第83話 激突、星峰対コンスタリオ小隊
シレットが魔法で雷撃を放つと星峰は
「狐妖術 白金の風壁」
と言い、目の前に風の壁を作り出して雷撃を防ぎ、更にその風を飛ばして背後に回り込もうとしていたモイスを跳ね飛ばす。風に跳ね飛ばされたモイスはそのまま地面に打ち付けられる。
「モイスっ!!」
「な、何だ・・・今の攻撃・・・」
星峰の攻撃を受けて強打した腰を摩りつつ立ち上がるモイス。シレットの心配の声も届いているものの、それ以上に動揺が強く出ている。
「魔神族も魔法が使えるの!?そんな話・・・」
困惑するシレットに対し
「今更そんなことを気にしてどうするの!!それよりも連携、仕掛けるわよ!!二人が駄目なら!!」
そう言いながら接近したコンスタリオは星峰に向かって格闘術を打ち込もうとする。しかし星峰は微妙な位置ずらしでコンスタリオの格闘術を悉く躱し、更にその背後から岬が強烈な飛び蹴りをコンスタリオの背中に叩き込む。受け身の体制を取るものの、地面を擦る蹴りで傷を負うコンスタリオ。
「一寸、相手を無視していくのは失礼ではないのですか?」
コンスタリオに蹴りを入れた後、岬は不満げにそう口にする。
「そ、それは悪かったわね。確かに貴方も無視出来る相手ではなさそうだわ」
そう言いながら砂を払い、立ち上がるコンスタリオ。しかし傷は痛々しく残っている。その傷を見てモイスとシレットも岬も又、決して侮れない相手であると認識を新たにする。
「なら見せてあげるわよ!!私達の力を」
シレットはそういうと今度は上から雷を落とそうとするがやはり星峰の風の壁で阻まれる。その隙を突いてモイスが銃を乱射し、更にコンスタリオが接近しようとするが星峰は
「円環の破断!!」
と言って剣を一回転させ、その衝撃波で全ての銃弾とコンスタリオを纏めて弾き飛ばす。再び地面に打ち付けられ、それでも立ち上がるコンスタリオ小隊。だが彼等の連携は星峰に悉く破られ、逆に星峰と岬に反撃を受けて追い込まれていく。劣勢を知って他の部隊も駆け寄るが、寧ろ集団になればなるほど状況は悪化していく。
「どうなっているの・・・こいつら・・・いえ、あの魔神族、こちらの攻撃を、連携を悉く潰してくる。そんな事が・・・」
息も絶え絶えになりながらコンスタリオが呟くとモイスは
「最初の連携からそうです・・・こいつ、まるで俺達の連携を見透かしているかの様に次々と手を打って・・・」
と同じく息をするのもやっとの状態であるにも関わらず口にする。
「見透かしているね・・・いえ、正確に言えば分かってるのよね、貴方達の連携」
星峰は口にこそ出さない物の、内心でこう思っていた。
「それでも・・・それでもっ!!」
シレットが無謀ともいえる更なる攻撃に出ようとしたその時、コンスタリオに兵士長から
「別動隊が全滅させられた、これ以上の戦闘は無意味だ、直ちに後退せよ!!」
という通信が入ってくる。それを受けたコンスタリオは
「別動隊が!?・・・了解、皆後退するわよ!!」
その言葉に最早返答する気力も残っていない人族部隊は従うほかなかった。だがシレットは
「次こそ・・・次こそっ!!」
とその内心に悔しさを募らせる。表情からそれを察したのか、岬は
「行ってしまいましたね・・・いいの?」
と星峰に優しい言葉で問いかけ
「ええ、今すぐ話しても信じてはもらえないでしょう。それよりも・・・」
と星峰も優し気な言葉で返す。その内心にある不安は隠しきれてはいないが。
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