第82話 魔王配下対コンスタリオ小隊
「言われてみれば確かに・・・魔神族の兵士がここまで明確な連携を取っているのは・・・」
「それがどうしたんです!!そうだとしても倒すべき敵なのは変わりありませんよ!!」
コンスタリオの違和感にモイスは同意するがシレットはそれでも構わないと言わんばかりに交戦、攻撃を続ける。
「シレット、敵の動きが違う以上これまで通りの戦い方じゃ通用しないかもしれないのよ!!怒りは分かるけど少しは冷静に・・・」
「・・・つっ、駄目、どうしても抑えきれないんですよ!!」
何とかシレットを落ち着かせようとするコンスタリオだがシレットは聞く耳を持たない。コンスタリオ小隊はそれでも魔神族兵士を迎撃していくがそこへ遂に星峰達が現れる。
「お前は・・・クラスク・タウンの時に居た奴か!!確か八咫とかいう・・・」
モイスが八咫を指差して言うと八咫は
「そういえばあの時に会ったな、その通りだ。覚えておいてくれたのは助かる」
と頷く。
「その体を私達の前に見せるなんて・・・腹立たしいにも程があるわ」
シレットがそう詰る相手は当然空弧である。その空弧は
「やはり、この体には怒りを覚えるんですね」
と内心をそのまま口に出す。だがその口調は詰られた怒りではなく、寧ろ予想が当たってしまった言い表すには複雑すぎる物であった。しかしその口調はシレットを更に苛立たせる。
「ブエルスを陥落させたのは貴方達なの?」
コンスタリオが怒りを含んだ声で岬に聞く。岬は
「ええ、その通りですよ。私達はあの街を攻め落としました。それを恨むのであれば恨んでくれて構いません」
とその怒りを許容する。
「そう、じゃあ遠慮なく!!」
コンスタリオのその言葉を皮切りにコンスタリオは岬に格闘戦を仕掛け、モイスは八咫に銃を撃ち、シレットは空弧に雷を飛ばす。それらを岬は受け止め、他の二人は回避して羽を飛ばし、手から水を放って反撃するがコンスタリオ達も回避し一進一退の攻防になるかと思われた。だがその直後
「・・・これは!?皆、別動隊が居るわ!!」
と星峰が宣言する。
「別動隊!?一体何処に・・・」
「この近くの森林の中よ!!正面の部隊は時間稼ぎの為に展開していたの!!」
岬が動揺した声を挙げて周囲を見渡すとそれを制するかの様に星峰が続ける。
「!?気付かれた!?そんな能力を持っているというの・・・」
作戦を見抜かれ、動揺が顔に出るコンスタリオ、その顔を星峰は見逃さなかった。
「ここは私が食い止めるから皆は別動隊の方に向かって!!私は大丈夫だから」
星峰はそういうと剣を構え、他の面々に別動隊の方に向かうよう促す。
「星峰・・・でも・・・」
「いや、行こう。星峰は口先だけの奴じゃない事はお前が一番よく分かっているだろう!!」
星峰の心境を汲んだのか、八咫は空弧と岬に呼びかける。
「行きたいのだけど・・・どうやらこの人は行かせてくれないみたい。なら私はこの人の相手をするしかないわね」
岬はそういうとコンスタリオの腹部に蹴りを入れようとするがコンスタリオも同じく蹴りで受け止める。それを見た八咫は
「空弧・・・」
「分かったわ。二人共、無事でいて!!」
そう告げると八咫と空弧は人族の別動隊が居る森林地帯へと移動する。
「あんただけで私達の相手をしようというの?上等だわ!!ブエルスとスターの借り、あんたでその一部でも返してもらう!!」
シレットは星峰にそう告げ、交戦体制を取る。しかし当然ながらシレットもモイスもコンスタリオも気付いている筈もなかった。この戦い、既に優位性は星峰の側にあるという事に。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます