第11話 クラスク・タウン防衛戦線
「はい、そこで此方の戦力も二つに分け、正規軍はティクシ・タウン、我々はクラスク・タウンに対し防衛戦力を展開します。二つのタウンの戦力を一つに集めれば魔人族の侵攻に対抗する事は十分可能です」
「つまり、その結果生じる穴を俺達で埋めるという訳か」
ルイナの解説から合点があった様であるスター。その顔にも納得の表情が浮かぶ。
「進行予定時刻まで余裕はない。申し訳ないが食後直ぐに移動車に乗車してくれ」
それまで一言も話さなかった兵士長がここに来て口を開く。その言葉を最後にルイナはその場から離れ、その場に居る全員が食事をかき込む。それを終えると兵士達は縄文前に向かい、そこに待機している何台もの大型車に乗り込む。全員が乗り込んだのを確認すると直ぐ様車は移動を開始し、目的のタウンへと向かう。
移動中の車内に乗り込んだコンスタリオ小隊
「相変わらず見事な車ね。この見た目から重武装してるなんて何度見ても思わないわ」
「そうね。カムフラージュ技術自体は何百年も前から会ったらしいけど移動車に搭載できるようになったのは数十年前から、そしてその後改良が重ねられて現在に至っている」
シレットとコンスタリオが雑談を始める。これから戦地に赴くというのに妙に緊張感が無い様にも見える。他の二人は何時もの事と言った顔で二人の雑談を聞き流していた。だがそこに
「移動中の各部隊に通達、魔人族の部隊は二手に別れ、両方のタウンを同時に襲撃してくる様。こちらも急行の為移動速度を上げる。総員衝撃に備えよ!!」
と言う声が入り、その直後に車がガクンと大きく揺れた後に速度を上げる。
「ああああーっ」
シレットが叫んでいるが、そんな事は露知らずで車は移動していく。そして目的地に着いた際、その甲斐あったのか魔神族の部隊はまだ到着していなかった。
「まだこちらに部隊は到着していないか・・・」
「接触まで後80秒!!総員迎撃態勢を直ちに取れ!!」
スターが確認の言葉を上げた直後、全体指揮官が迎撃態勢を取る様に指示する。その指示に従い、直ちに迎撃態勢を整えるスター達。
80秒後、全体指揮官の言葉通り魔神族の部隊が目の前に現れ始める。
「おいおい・・・戦力が低下してるんじゃなかったのか?」
先陣を切る魔人族の兵士がそう呟いたのを皮切りに迎撃部隊は剣を構え、銃や矢を放ち魔人族の兵士を迎撃していく。飛び交う銃弾、放たれる矢、響く斬撃、そしてその後に続く崩れ落ちる音、しかしその音は全て魔人族の兵士が響かせていた。
「ちっ、こいつ等戦い慣れしてやがる・・・こりゃ一寸・・・」
そう呟く間も与えない程のスピードで接近し、その身を割くスター。そのスターに飛び掛かろうとした兵士を銃で撃つモイス。魔法で距離を取りつつ一網打尽を行うシレット、そのシレットの隙をカバーする為に格闘術で動き回るコンスタリオ、コンスタリオ小隊も作戦成功の為に奮闘を見せていた。
「敵戦力は当初の半分にまで減少している。このままのペースで行けば迎撃出来るはずだ」
全体指揮官が激を飛ばすがスターは
「このままのペースで行けば・・・か。だが敵も無能では無い。何か隠し玉がある可能性が・・・」
と考える。その直後、スターの目の前に明らかにこれまでの兵士とは違うゴリラの様な巨大な魔神族が現れる。
「こいつは・・・」
スターがそう呟くと同時にその魔人族は殴りかかって来る。その地鳴りはその巨体から連想出来る通り、地面を揺らし、周囲を困惑させる。
「スター!!」
「こいつは俺が抑えておく。お前は他の兵士を先に殲滅してくれ!!」
スターの事に気付いたモイスにスターは敢えて兵士の方に向かう様告げる。
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