第10話 新たな動き
その頃、ルイナの自室ではコンスタリオ小隊の雰囲気とは真逆の重い空気が漂っていた。
「その情報は確かなんですね」
「はい、間違いありません」
ルイナは誰かと連絡を取っている様だが、その誰かはこれまでここを訪れたどの人物とも違う声色を発していた。
「・・・分かりました。有難う御座います」
ルイナはそういうと無線を耳から下に降ろし、連絡を遮断する。
翌日、又何時もの様に食堂に集まるが、昨日とは明らかに空気が違っていた。どこか緊張感のある張り詰めた空気、それもその筈である。早朝からルイナが
「重大な連絡事項がある」
と城中に放送をかけたのだから。
眠い目をこすりながらルイナを待つ者もいたが、本人の登場と共にそれも何処かへと吹き飛んでいく。
「皆さん、早朝から申し訳ございません。ですがそれをせねばならぬ事態が起こったのです」
ルイナのその発言に一斉にざわつき始める兵士達。それを制するかのように
「何が起こったのです?」
と質問を繰り出すスター。
「昨夜より北方面より魔神族の部隊が接近、こちらへの侵攻の意思ありと判断されました。現在正規軍が防衛体制を敷いていますが戦力が足りず、ティクシ・タウンとクラスク・タウンへのの侵攻を許す可能性が高いのです。
そこで我々にも出動要請が来ました。要請内容は正規軍と合流し、それぞれのタウンの防衛にあたってほしいと」
質問に回答するルイナだがスターは更に
「何故正規軍の数が不足しているのです?防衛戦力はある程度提供されているはずですが・・・」
と問いかける。
「実は・・・理由は不明ですが、正規軍が魔神族側への侵攻を行おうとして返り討ちに合い、その結果戦力が減少した所を狙ってきたと推測しています」
「つまり勝手な事やってその尻拭いをしろってか。全く、タウンが襲われるって話じゃなきゃ嫌々つく任務だぜ」
「モイス!!・・・と言いたいけど私も実は同意見ね。どうしてそんな勝手な事を・・・」
ルイナの回答に明らかに不満げな顔を浮かべるモイス、そんなモイスを諭すのかと思いきやコンスタリオも同意する。
「正規軍の真意は分かりません。ですがタウンの制圧を許せばそれは魔神族振興の足掛かりとなります。それは何としても避けなければなりません」
コンスタリオ達の不満を聞きつつもあえて諭そうとはせず、任務へと視点を向かわせるルイナ。そんなルイナを見た故か
「しかし、その二つのタウンはほぼ180度正反対の場所にあり、同時に防衛するのは不可能だと思いますが・・・」
とスターも任務へと視線を変える質問をする。
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