第5話 奪還作戦

広大な大地と青い空、そしてその下を風景に似つかわしくない重武装をした軍隊が更新していく。ピスティアタウン奪還作戦が間もなく始まろうとしていた。

コンスタリオ小隊も配置につき、作戦開始のカウントダウンが始まる。


「5…4…3…2…1…ミッションスタート!!」


前線指揮官の号令と共に正面の部隊はピスティアタウンに突撃をかけ、スター達コンスタリオ小隊は奇襲の為タウン南より独自に進撃する。途中敵の妨害もなく難なくタウンに辿り着く。それと同時に


「聞こえますか?ただいま正規軍が正面の敵部隊と交戦中、今の所こちらの被害は微々たる物だけど油断は出来ないわ。可能な限り早く内部のかく乱と住民の避難誘導を」


というコンスタリオの伝達が届く。


「了解、現在タウン南より進行中。。通信傍受のリスクを回避する為に現時点より通信を遮断する」


そう告げるとスターは通信を切り、モイス、シレットと共にタウン内部を移動する。そしてタウン内の広場に着くとそこには魔神族の兵士が待ち構えていた。


「くっ、もう侵入を許したのか?いや、早すぎ・・・ぐあっ!!」


兵士が気付き、戦況を分析する前に近付き、その手にした剣で腹部を切り裂くスター。その攻撃動作には一瞬の躊躇いも無い。


「な、何っ、貴様等、まさか・・・づうっ!!」


別の兵士が何かを言いかけるがその瞬間、モイスが放った片手銃の弾丸が兵士を撃ち抜く。


「気付いた時には遅いんだよ!!」


倒れこむ魔神族にそう言い放つモイス、その顔に先程までのおふざけはなかった。


「あ、あの噂の悪魔の・・・ぐあっ!!」


更にいた別の兵士が言葉を発しかけるが、そこにシレットが火の玉を撃ち込む。


「悪魔って・・・どの口がそう言えるのかしらね?」


倒れこんだ魔神族を見下ろしつつ、シレットはそう呟く。その直後周囲の建物から住民と思わしき人間が何人も外に出てくる。


「魔神族の兵士が居なくなった・・・軍が助けに来てくれたのですか?」


その中の一人がそういうと


「はい、皆さん、落ち着いて安全な場所に避難して下さい」

「と言いますが、既にこのタウンで安全な場所はそれぞれの自宅位しか・・・」


シレットは避難を促すがそれが困難であることを伝えられる。するとスターは


「分かりました。それでは・・・モイス、お前はここに残ってこの人達を。」

「はいはい、何時もの事か」


そう軽く返答するモイスには、何時の間にか先程なかったおふざけが復活していた。


スターはそう告げるとモイスを残し、シレットと共にタウンの放送設備があるエリアに向かう。そしてその設備があるエリアにつくとそこには何体もの魔神族兵士がいた。


「!!貴様等、何時の間に・・・」

「通信や放送を真っ先に抑えるのは戦略の基本・・・か」


その中の一体が問いかけるがスターは完全にそれを無視し、独り言の感想を呟く。


「ええい、だが相手はたかが二人!!こちらは十五人、一斉に・・・」

「カースド・ニードル!!」


先程と同じ兵士が又話を終える前にシレットはそう呟く。すると話している兵士以外の兵士の足元に魔法陣が出現しその魔方陣から巨大な針が出て兵士を貫く。


「な・・・何・・・」


他の兵士が貫かれたのを見て唖然とする残った兵士、そこにスターが


「デリート・スラッシュ」


と言い、剣の柄にある宝石から光を放ち、その光を県に纏わせて切りかかる。


「ちっ!!ええい」


兵士はそう言うと火球を手から放つがスターはそれを真っ二つに切りながら接近し、そのまま兵士も切り裂いてその場に崩れ落ちさせる。


「通信、放送設備の奪還は完了」

「コンスタリオにも報告したよ。それと、外の軍ももう直ぐ押し込めるって」

「なら入り口に先回りして後続の憂いを断つ」


二人はそう言うとタウンの入り口に向かい、そこで交代してくる魔人族の部隊を待ち構える。後退してきた魔人族がタウン内に入ろうとするがそこでスターとシレットの存在に気付く。


「な、何っ!!」

「もう遅い!!」


スターは瞬く間に兵士に接近し、魔人族を討伐していく。そこに正面から攻め込んで居た正規軍も合流し、魔人族の部隊は瞬く間に瓦解する。その直後


「現時刻を以って作戦の成功を伝える。総員の検討に感謝する」


と言うコンスタリオと正規軍指令の声が同時に響き、作戦の成功が人族部隊に伝えられる。


「やったね!!」

「ああ」


シレットは素直にそれを喜ぶがスターは何か腑に落ちない、そんな顔をしていた。



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