第2話
【完成プロット 2話】
○明け方、愛が目を開けるとカケルはいない
愛『え?トイレ?』
○通路の寝床に戻るカケル
カケル『はい、毛布。すぐそこの警備室からもらってきた』
愛『あ、ありがと・・』
カケル『賭場は全店0時に閉店して6時に開店するんだ。食事の配布は8時と19時。
食事まで時間もあるし、そろそろ賭場が賑わってきたんで行こうか?』
愛『え?お金無いのに?』
カケル『通路を歩くのは無料。まずは賭場の貼り紙を見て回ろう!』
○賭博場の通路側の壁に書かれたルールの貼り紙を見て立ち止まるカケル
カケル『透視能力賭博?壁の向こうの花瓶の有無を当てるゲーム。
掛け金は最低1億。最大10億まで。持ち物検査無し。
入場は1度きり。勝利した場合は利益の1割を収める事。』
か・・。
愛『透視能力??ポーカーとかじゃないんだね・・』
カケル『ポーカーの部屋もあるけど、ギャンブルの内容は各部屋のディーラーの
自由だから色々へんなのがあるんだ。
この賭場場はリプレイスカジノって言って、プレイヤーがディーラーにも
なれるタイプなんだ。人気の部屋を作れば1日で10億以上は稼げる夢のカジノさ!
世界中から人が集まるんだ!』
愛『ディーラーさんは賭場街のスタッフさんじゃなくて一般人?』
カケル『そう、保証金が10億円あればだれでもなれるよ!俺でも。』
愛『10億・・家賃はどのくらいなの?』
カケル『1部屋1日1000万円』
愛『い・・1000万!?』
カケル『たいした額じゃないんだよ。ここでは。世界中の大金持ちが集まるから
1ベット1億とかはざらなんだ』
愛『なんか地球にいないみたい・・もの凄く部屋数とお客さんがいるから
おおもとは相当もうかりそう・・』
カケル『200くらい部屋があるから、賭場だけでも1日20億円の利益かな?
あとホテルもあるから毎日、数十億の利益だね。
リプレイスカジノの強みは支配人が安定した収入を得れると言う事。
でも賭場も運営していて、その賭場が一番人気なんだ』
愛『世界中から無料で運んでくれるわけだね・・』
カケル『ここ、昔着た時は無かった賭場なんだ。入って見ようかな』
愛『え!?入れるの?お金無いよね?』
カケル『だって、持ち物チェック無いって貼り紙にあるじゃん!
金があって、中に入ってもビビって賭けられずに出てくる人も一杯いるからね』
愛『見学か・・』
カケル『お金無いのがばれたって、追い出されるだけだから(笑)』
愛『そういう事・・・』
○カケル1人が入口に入るとサングラスの店員がカケルを見る
サングラスの店員『中へどうぞ』
○中に入るとほとんど物の置かれていない四角い部屋。窓は無い。
入口のそばに部屋のスイッチ。
床には一本のラインが横に伸びている。
そのラインのそばの壁にはカメラのレンズのような物がいくつかある。
その向こう側にテーブルが離して2つあり、壁になる板が立ててある。
テーブルの色は赤と緑。そのそばには警備員
支配人『いらっしゃいませ!透視賭博の部屋へ!』
○天井から声が聞こえて緊張の面持ちのギャンブラー達
支配人『ここに来られた方は全て初来店のお客さまです。
ゆえに平等にベットする事ができます。
テーブルが2つありますが、そのどちらかには花瓶が立てられています。
もちろん、板が立ててありますので、お客さまからは見れません。
床にあるラインから花瓶側に入られますと
赤外線センサーが察知して警報がなり、1億円が没収されます。
スタートの合図がされてから1時間以内にどちらのテーブルに花瓶があるかを
決めて賭けてください。最低掛け金は1億円です。最大掛け金は10億円です。
1つのテーブルに賭けられる合計金額は10億円ですので、例えば
先に1人のお客さまが10億円ベットなされますと、残りのお客さまは最低でも
1億円づつ反対側のテーブルに賭けなければなりません。それでは
ご質問のあるお客さまはどうぞ』
カケルの心『まじか・・見学無しじゃん・・』
お客A『靴とかを投げてテーブルを揺らしたりしたらどうなるの?』
支配人『テーブルに物を当てた時点で1億円を罰金として支払い
退場していただきます。念のため暗闇でも見れるように赤外線レーダーと
赤外線カメラで見張っています』
カケル『床のラインのこっち側なら何をしてもいいの?』
支配人『お金の取りあい以外でありましたらご自由にどうぞ。』
○ざわつくお客達。人数は10人
支配人『ご質問がございませんようでしたら、始めさせていただきます。』
支配人『スタート!』
カケルの心『誰も透視なんかできないよな・・。
ここには観客の窓もない。花瓶の位置が分かるのは警備員だけ。
もし警備員とぐるのお客がいれば楽勝なギャンブル。
もし、そんな奴がいれば、いち早くベットするはず。そいつに乗れば当たりか・・。
あの警備員、ずいぶん黒いな・・。外でも長年、警備をしてきたのかな?
真面目そうだ。これだけの金が動く所で警備を任されるんだから、その辺が
妥当な読みか。耳には通信機。胸のポケットにはマイク。
腰には警棒と懐中電灯。靴は踏まれても痛くない安全靴・・。』
お客B『あの・・わかりますか?』
カケル『いえ(笑)見えませんからね~』
お客C『要は触れずに花瓶の位置を確かめろという事だよね?』
カケルの心『あの警備員、少しこっちを見ているな。視線。あの視線は
使えるかな?』
カケル『ねえ、警備員さん!僕、透視できるんですけど
花瓶にひびが入ってますよね?』
○視線を動かさない警備員
カケル『・・・無理か。横から夕陽とか入ってくれば陰で分かるけど
ここは地下街だからそれもないよな・・』
○みけんにシワの入るカケル
○小さくうなずき、かすかに笑う
カケルが大きな声で『おれ、赤外線に反応しない服を着てるんだよねー!』
○じろっと見る警備員
○にやりと笑ったカケルは入口のそばにある部屋の灯りのスイッチを消す
○ざわつくお客達
○人をかき分けてラインのそばに移動するカケル
カケルが大きな声で『さーーって!どっちのテーブルに花瓶があるのかなーー!』
○慌てて腰のライトで花瓶を確認する警備員
○大声で花瓶はここだぜー!と騒ぎながら
ライトを付けた入口の所に戻り、灯りをつけるカケル
○カケルをにらむ警備員
カケル『これ、反則じゃあ、ないよね?支配人さん』
支配人『今のは反則にはなりません。こちらからは赤外線カメラで見えています』
カケル『ありがとうございます!』
○ざわつくお客達
お客A『あんた、ほんとに赤外線レーダーをくぐって見てきたの?』
カケル『さあ(笑)』
お客A『・・そうだよね。そんな事できるわけがないよね・・』
カケル『ちなみにあんたいくら持ってるの?』
お客A『な、なんでそんな事・・言えないよ・・』
カケル『そうだな・・2億かな。2億持ってたら教えてあげるよ。
何で分かったかを』
お客A『え!?本当に分かったの??』
カケル『うん。ただし、当たった場合は利益の半分頂くよ?』
お客A『え?本当の本当に分かるのか?』
カケル『まあ、億単位だから慎重になるのも分かる。じゃあ、からくり
を聞いてからでもいいよ。協力するのは。ただし、2億円持っていないと
教えない』
お客A『10億円の小切手がある。ほら』
○賭博街のホログラムシールが貼られた小切手に10億円預かりの記載
○ポケットから茶色のサングラスを取りだし、小切手をじっと見つめるカケル
○口角が上がり、唇を少しかむカケル。サングラスはポケットにしまう
カケル『商談成立だ。他が賭ける前に済まそう!耳を貸してくれ』
○全員が賭け終わる
支配人『それでは、結果をお知らせいたします!』
○息をのむお客達
支配人『花瓶があるのは赤のテーブルでございます!』
○あ~あと声を上げるお客達。中にはしゃがみ込む人も。その中で冷静なカケル
お客A『あわわわ!やっぱり本当だ!』
支配人『当選者が2名ですので、そのお客さまに1億円と9億円が渡され
手数料として、その中から合計で1億円をちょうだいいたします。
このたびはご来場、ありがとうございました!』
○入口が開かれ、ぞろぞろと帰るお客達
○通路に出たカケルに駆け寄る愛
愛『ねえ、どうだった?』
カケル『当たったよ』
愛『当たった?お金は??』
カケル『後ろの人に借りた』
愛『なんで借りられたの?お知り合い?』
カケル『いや、さっき初めて会った(笑)』
愛『何で貸してくれたの?』
カケル『透視できたから(笑)』
愛『うそ・・何で分かったの?』
カケル『花瓶の影さ。』
愛『影?』
カケル『花瓶を透視する事はできない。花瓶の位置を知るのは警備員だけ。
警備員を利用する以外に花瓶の位置を特定する事はできない。
花瓶を見る視線を利用しようとしたがそれは無理だった。
そこで、まず俺は明るい部屋で赤外線をすり抜けると嘘を着いて警備員に
花瓶を警戒させる。次に部屋の灯りを消した。当然警備員は花瓶が気になる。
俺はラインの所まで来て騒いだ。花瓶が気になって仕方が無い警備員は
腰のライトで花瓶を確認、花瓶には影ができて位置が確定される。
しかしいつまでも照らされていては他のお客も気づくからすぐに花瓶を
持っていると騒ぎたてた。お客達は一瞬気が動転して俺を見る。
花瓶を確認できた警備員は次に俺を照らした。
そうすれば花瓶から影は消える。』
愛『すごーい!なんかちょっとあれだけど・・・』
カケル『フェアじゃないのは分かるよ。しかしルール違反ではない。
ここの賭博場はそういう所さ。ディーラーと客が組んでいる事さえある。
イカサマなんて当たり前。俺はそこの部屋の中でこの情報を売ったんだ』
お客A『あああ、あの・・これ・・』
○賭博街公認の小切手をカケルに震えながら渡す、お客A。
金額は4億5千万円と記載
○横から覗きこむ愛
愛『よ・・』
○その場にへたりこむ愛
○再びサングラスをかけて、少しうつむき加減に小切手を見て
視線だけを上にあげて、お客Aを見ながら、にやっと笑うカケル
カケル『たしかに!(笑)』
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