@hasegawaplan

第1話



【完成プロット 1話】


※○のマークは場面説明の印です。

主人公が大学生のカケル。ヒロインが同じく大学生の愛です。


○大学の外観


○手品サークルの看板


○そこに1人の女子大生の愛が駆け込む


愛『カケル!あなたの家!』


○マジックをするカケルの周りに手品サークルの部員の人達


女子部員『ん?どした?』


カケル『え!?何?』


○カケルのアパートから勝手に荷物を持ち出す人々の1人に尋ねるカケル


カケル『ここの住人ですけど、どうしたんですか?』


スーツの男『この書類をどうぞ』


○借金80億円の借用書のアップ


カケル『は?80億!?』


カケル『あの・・これどういう事ですか?俺、借金なんか・・』


スーツの男『この書類に覚えはないですか?』


カケル『これは幼馴染の会社設立の契約書・・覚えてますけど・・


俺、連帯保証人になったから・・』


○愛のアパートの部屋でうなだれるカケル


愛『こわいね・・保証人って・・』


○手に持つ郵送物の中に幼馴染からの手紙を発見するカケル


カケル『あ・・涼から手紙だ・・』


涼からの手紙『ごめんね。カケル。例のグループにやられました・・。


私は例の場所にいますので、良かったら来て下さい』


カケル『・・アリ地獄に来いってか・・』


愛『アリ地獄?』


カケル『俺みたいな借金まみれの人や大金持ちが行くところ。


賭博に法律的な規制のない外国の地下にある賭博街で


入るのに日本円で200万円、出る時は1億円必要なんだ。


もし中で1億円ないと、一生地上には出してもらえない。


で、アリ地獄と呼ばれてるんだ・・』


愛『外国にどうやって行くの?お金あるの?』


カケル『見せ金200万円があれば無料で乗れる


ヘリのチャーター便が出ている所があるんだ


賭博街は毎日数十億の利益を上げているから、無料のチャーター便は世界中に


飛んでいる。200万円あれば最低ランクだけど客扱いというわけだ』


愛『行った事あるの?賭博街に・・』


カケル『うん。通信高校1年休んで行ってきた。その時は


この手紙の差出人の幼馴染の涼と一緒に』


愛『高校、通信だったんだ』


カケル『俺、人と合わせるの苦手だから・・』


愛『・・その涼って言う幼馴染が今回借金を作った人ね・・』


○ため息をつくカケル


愛『でも、なんでアリ地獄の事を知っていたの?』


カケル『涼の知り合いがそこに長くいたと聞いてる。その知り合いには


会ったこと無いけど・・』


愛『200万円のお金は?』


カケル『涼の貯金・・』


愛『誘われて行ったんだ・・』


カケル『うん・・』


カケル『じゃあ、ここに泊まる訳にも行かないし、行くわ・・』


愛『え!?行くって、今??お金あるの??』


○カケルの見せた財布の中身は2千円と小銭


愛『分かった!貯金だ!』


カケル『俺、貯金無いよ』


愛『・・?』


カケル『会うの最後かもしれないんで・・さよなら・・』


愛『ちょっと待って・・』


○深夜山の中にある草原で立つ2人


愛『夜中にくるんだ?』


カケル『不法入国のヘリだからね。ビザも必要なし。向こうに行っても


身分証は二百万円以上の金。他にも身分証は1つあるけど』


愛『その、他ってやつでヘリに乗れるんだ?』


カケル『うん・・』


○ヘリが草原に到着。中からサングラスの男が降りてくる


男『どうぞ、お乗りください』


○普通にヘリに乗り込む2人。そして飛び立つヘリ


○ヘリから降りると今度はジャングル


愛『これで2日目だっけ?ヘリ移動・・何十回給油するんだろ?』


カケル『明日くらいには着くはずだけど』


愛『あと1日かあ・・夜なのに、あつ・・汗びっしょり・・


あ、そー言えばなんでヘリに乗れたの?』


カケル『顔パス』


愛『顔パスって・・3年前でしょ?ここに来たの・・』


カケル『なーんて、今は言えない。ホテルは地下の賭博街の中にある・・』


愛『良かった・・野宿はやだもん・・』


○翌日の深夜、ジャングルのヘリポートに着陸。2人は荷物を持って降りる


カケル『すいぶん大きいバッグ持ってきたね~』


愛『だって何日いるか分からないんでしょ?なんで手ぶらなの?』


カケル『全部取られたから(笑)』


愛『・・あ、ごめん・・』


○案内人の後を数分歩く2人


カケル『ついたかな?』


愛『え!?何にもないよ??』


案内人がリモコンを押すと地面が持ち上がり、地下へ続く階段が現れる


愛『うわー。秘密基地みたい!』


○階段を下りていき、案内人は警備室に入り、2人は持ち物チェックを受ける。


解放された2人はそのまま通路に進む


○警備室を過ぎると先が見えないほど長い1本の通路。


通路の左側の壁には永遠とドアが続く。


通路の右側の隅には毛布にくるまるローザー達(LOSER=負けて勝負できない人達)


愛『あれ?通路はすずしいね!なんか都心の地下鉄みたい』


カケル『空調はいいからね!床は清潔で、匂いもしない。


毛布で寝ているのはホテル代を持っていない人達・・』


愛『えっと、ホテルは無料?』


カケル『1泊60万円くらい?高いのは1泊500万くらいだったかな?』


愛『ろ・・。私そんなに持ってないよ?お金。


1日でかき集めたのが200万円あるけど・・』


カケル『あ、そっか・・お金、用意してくれたんだ・・』


カケルの心『やっぱ、イイ奴だな・・』


○低額の自動両替機で2千円をドルに替えて、自動販売機でジュースを2本買い


1本はローザー(勝負するお金の無い人)に分け与えるカケル


カケル『横、失礼します。』


○ほほ笑むローザー


ローザー『静かにしてくれるならいつまででもどうぞ・・』


○カケルのとなりに座る愛


愛『今、なんて話したの?』


カケル『隣にお邪魔しますって。挨拶』


愛『ひょっとして、ここが私達の宿?』


カケル『今のところは・・』


愛『今の所って!?お金無いのにどうするの?貸してくれる知り合いでもいるの?』


カケル『いや、いないよ』


愛『じゃあ、このまま一生ここで暮らすの?』


カケル『ここの賭博街は毎日膨大な利益を上げているから毛布と毎日2食の


食事が無料で提供されるんだ。お金が無くてもね・・』


愛『ああ・・もう、嘘みたい・・』


○通路に大きな床掃除機が寄ってくる


カケル『あ、今そういう時間なんだ・・』


愛『そういう時間って?』


カケル『毎日深夜の3時から6時は掃除の時間なんだ。その間は賭場もお休み。


床で寝ているローザー達は右から左へ200メートルくらいの大移動。


掃除が終わればもとの縄張りに帰る。


やってる店は銀行とコンビニくらいかな?』


○掃除機が過ぎ去り、もとの場所で眠りにつくカケル


壁にもたれかかりうなだれる愛



【完成プロット 2話】



○明け方、愛が目を開けるとカケルはいない


愛『え?トイレ?』


○通路の寝床に戻るカケル


カケル『はい、毛布。すぐそこの警備室からもらってきた』


愛『あ、ありがと・・』


カケル『賭場は全店0時に閉店して6時に開店するんだ。食事の配布は8時と19時。


食事まで時間もあるし、そろそろ賭場が賑わってきたんで行こうか?』


愛『え?お金無いのに?』


カケル『通路を歩くのは無料。まずは賭場の貼り紙を見て回ろう!』


○賭博場の通路側の壁に書かれたルールの貼り紙を見て立ち止まるカケル


カケル『透視能力賭博?壁の向こうの花瓶の有無を当てるゲーム。


掛け金は最低1億。最大10億まで。持ち物検査無し。


入場は1度きり。勝利した場合は利益の1割を収める事。』


か・・。


愛『透視能力??ポーカーとかじゃないんだね・・』


カケル『ポーカーの部屋もあるけど、ギャンブルの内容は各部屋のディーラーの


自由だから色々へんなのがあるんだ。


この賭場場はリプレイスカジノって言って、プレイヤーがディーラーにも


なれるタイプなんだ。人気の部屋を作れば1日で10億以上は稼げる夢のカジノさ!


世界中から人が集まるんだ!』


愛『ディーラーさんは賭場街のスタッフさんじゃなくて一般人?』


カケル『そう、保証金が10億円あればだれでもなれるよ!俺でも。』


愛『10億・・家賃はどのくらいなの?』


カケル『1部屋1日1000万円』


愛『い・・1000万!?』


カケル『たいした額じゃないんだよ。ここでは。世界中の大金持ちが集まるから


1ベット1億とかはざらなんだ』


愛『なんか地球にいないみたい・・もの凄く部屋数とお客さんがいるから


おおもとは相当もうかりそう・・』


カケル『200くらい部屋があるから、賭場の部屋を貸す代金だけでも1日20億円の


利益かな?


あとホテルもあるから毎日、数十億の利益だね。


リプレイスカジノの強みは支配人が安定した収入を得れると言う事。


でも賭場も運営していて、その賭場はここの一番人気の部屋なんだ』


愛『世界中から無料で運んでくれるわけだね・・』


カケル『ここ、昔着た時は無かった賭場なんだ。入って見ようかな』


愛『え!?入れるの?お金無いよね?』


カケル『だって、持ち物チェック無いって貼り紙にあるじゃん!


金があって、中に入ってもビビって賭けられずに出てくる人も一杯いるからね』


愛『見学か・・』


カケル『お金無いのがばれたって、追い出されるだけだから(笑)』


愛『そういう事・・・』


○カケル1人が入口に入るとサングラスの店員がカケルを見る


サングラスの店員『中へどうぞ』


○中に入るとほとんど物の置かれていない四角い部屋。窓は無い。


入口のそばに部屋の灯りのスイッチ。


床には一本のラインが横に伸びている。


そのラインのそばの壁にはカメラのレンズのような物がいくつかある。


その向こう側にテーブルが離して2つあり、目隠しになる板が立ててある。


テーブルの色は赤と緑。そのそばには警備員


支配人『いらっしゃいませ!透視賭博の部屋へ!』


○天井から声が聞こえて緊張の面持ちのギャンブラー達


支配人『ここに来られた方は全て初来店のお客さまです。


ゆえに平等にベットする事ができます。


テーブルが2つありますが、そのどちらかには花瓶が立てられています。


もちろん、板が立ててありますので、お客さまからは見れません。


床にあるラインから花瓶側に入られますと


赤外線センサーが察知して警報がなり、1億円が没収されます。


スタートの合図がされてから1時間以内にどちらのテーブルに花瓶があるかを


決めて賭けてください。最低掛け金は1億円です。最大掛け金は10億円です。


1つのテーブルに賭けられる合計金額は10億円ですので、例えば


先に1人のお客さまが10億円ベットなされますと、残りのお客さまは最低でも


1億円づつ反対側のテーブルに賭けなければなりません。それでは


ご質問のあるお客さまはどうぞ』


カケルの心『まじか・・見学無しじゃん・・』


お客A『靴とかを投げてテーブルを揺らしたりしたらどうなるの?』


支配人『テーブルに物を当てた時点で1億円を罰金として支払い


退場していただきます。念のため暗闇でも見れるように赤外線レーダーと


赤外線カメラで見張っています』


カケル『床のラインのこっち側なら何をしてもいいの?』


支配人『お金の取りあい以外でありましたらご自由にどうぞ。』


○ざわつくお客達。人数は10人


支配人『ご質問がございませんようでしたら、始めさせていただきます。』


支配人『スタート!』


カケルの心『誰も透視なんかできないよな・・。


ここには観客の窓もない。花瓶の位置が分かるのは警備員だけ。


もし警備員とぐるのお客がいれば楽勝なギャンブル。


もし、そんな奴がいれば、いち早くベットするはず。そいつに乗れば当たりか・・。


あの警備員、ずいぶん黒いな・・。外でも長年、警備をしてきたのかな?


真面目そうだ。これだけの金が動く所で警備を任されるんだから、その辺が


妥当な読みか。耳には通信機。胸のポケットにはマイク。


腰には警棒と懐中電灯。靴は踏まれても痛くない安全靴・・。』


お客B『あの・・わかりますか?』


カケル『いえ(笑)見えませんからね~』


お客C『要は触れずに花瓶の位置を確かめろという事だよね?』


カケルの心『あの警備員、少しこっちを見ているな。視線。あの視線は


使えるかな?』


カケル『ねえ、警備員さん!僕、透視できるんですけど


花瓶にひびが入ってますよね?』


○視線を動かさない警備員


カケル『・・・無理か。横から夕陽とか入ってくれば陰で分かるけど


ここは地下街だからそれもないよな・・』


○みけんにシワの入るカケル


○小さくうなずき、かすかに笑う


カケルが大きな声で『おれ、赤外線に反応しない服を着てるんだよねー!』


○じろっと見る警備員


○にやりと笑ったカケルは入口のそばにある部屋の灯りのスイッチを消す


○ざわつくお客達


○人をかき分けてラインのそばに移動するカケル


カケルが大きな声で『さーーって!どっちのテーブルに花瓶があるのかなーー!』


○慌てて腰のライトで花瓶を確認する警備員


○大声で花瓶はここだぜー!と騒ぎながら


ライトを付けた入口の所に戻り、灯りをつけるカケル


○カケルをにらむ警備員


カケル『これ、反則じゃあ、ないよね?支配人さん』


支配人『今のは反則にはなりません。こちらからは赤外線カメラで見えています』


カケル『ありがとうございます!』


○ざわつくお客達


お客A『あんた、ほんとに赤外線レーダーをくぐって見てきたの?』


カケル『さあ(笑)』


お客A『・・そうだよね。そんな事できるわけがないよね・・』


カケル『ちなみにあんたいくら持ってるの?』


お客A『な、なんでそんな事・・言えないよ・・』


カケル『そうだな・・2億かな。2億持ってたら教えてあげるよ。


何で分かったかを』


お客A『え!?本当に分かったの??』


カケル『うん。ただし、当たった場合は利益の半分頂くよ?』


お客A『え?本当の本当に分かるのか?』


カケル『まあ、億単位だから慎重になるのも分かる。じゃあ、からくり


を聞いてからでもいいよ。協力するのは。ただし、2億円持っていないと


教えない』


お客A『10億円の小切手がある。ほら』


○賭博街のホログラムシールが貼られた小切手に10億円預かりの記載


○ポケットから茶色のサングラスを取りだし、小切手をじっと見つめるカケル


○口角が上がり、唇を少しかむカケル。サングラスはポケットにしまう


カケル『商談成立だ。他が賭ける前に済まそう!耳を貸してくれ』


○全員が賭け終わる


支配人『それでは、結果をお知らせいたします!』


○息をのむお客達


支配人『花瓶があるのは赤のテーブルでございます!』


○あ~あと声を上げるお客達。中にはしゃがみ込む人も。その中で冷静なカケル


お客A『あわわわ!やっぱり本当だ!』


支配人『当選者が2名ですので、そのお客さまに1億円と9億円が渡され


手数料として、その中から合計で1億円をちょうだいいたします。


このたびはご来場、ありがとうございました!』


○入口が開かれ、ぞろぞろと帰るお客達


○通路に出たカケルに駆け寄る愛


愛『ねえ、どうだった?』


カケル『当たったよ』


愛『当たった?お金は??』


カケル『後ろの人に借りた』


愛『なんで借りられたの?お知り合い?』


カケル『いや、さっき初めて会った(笑)』


愛『何で貸してくれたの?』


カケル『透視できたから(笑)』


愛『うそ・・何で分かったの?』


カケル『花瓶の影さ。』


愛『影?』


カケル『花瓶を透視する事はできない。花瓶の位置を知るのは警備員だけ。


警備員を利用する以外に花瓶の位置を特定する事はできない。


花瓶を見る視線を利用しようとしたがそれは無理だった。


そこで、まず俺は明るい部屋で赤外線をすり抜けると嘘を着いて警備員に


花瓶を警戒させる。次に部屋の灯りを消した。当然警備員は花瓶が気になる。


俺はラインの所まで来て騒いだ。花瓶が気になって仕方が無い警備員は


腰のライトで花瓶を確認、花瓶には影ができて位置が確定される。


しかしいつまでも照らされていては他のお客も気づくからすぐに花瓶を


持っていると騒ぎたてた。お客達は一瞬気が動転して俺を見る。


花瓶を確認できた警備員は次に俺を照らした。


そうすれば花瓶から影は消える。』


愛『すごーい!なんかちょっとあれだけど・・・』


カケル『フェアじゃないのは分かるよ。しかしルール違反ではない。


ここの賭博場はそういう所さ。ディーラーと客が組んでいる事さえある。


イカサマなんて当たり前。俺はそこの部屋の中でこの情報を売ったんだ』


お客A『あああ、あの・・これ・・』


○賭博街公認の小切手をカケルに震えながら渡す、お客A。


金額は4億5千万円と記載


○横から覗きこむ愛


愛『よ・・』


○その場にへたりこむ愛


○再びサングラスをかけて、少しうつむき加減に小切手を見て


視線だけを上にあげて、お客Aを見ながら、にやっと笑うカケル


カケル『たしかに!(笑)』



【完成プロット 3話】



○カケルの手のひらのアップ。ホテルのキーが2つ


愛『え!?2部屋も??』


カケル『一緒に寝るわけいかないっしょ。ただの大学のサークル仲間なんだから』


愛『ええ・・そうだけど・・一泊60万もするのに・・』


カケル『いーじゃん。儲かったんだから!』


愛『あのね!正月でも60万なんてお金を私は見た事も無いんです!』


カケル『そーなんだ』


○腰に手を当ててカケルの顔を正面で見ながら


愛『そーなんだじゃないよっ!こっちが、ふ・つ・う!』


カケル『なんだよせっかく勝ったのに・・毎日60万円くらい・・』


○上を見ながら寄り目で


愛『ふわわ~気が変になるぅ~・・』


カケル『わかったよ・・キャンセルして1つの部屋に泊まろう・・』


愛『そうそう!』


カケル『一泊200万円くらいのだったら中で数部屋になって・・』


愛『同じこっちゃ!!私が管理する!はい!お金貸して!』


カケル『え~っと。買いたい物とかがあるから、それ買って残りを渡すよ』


愛『うん。あ、そうだ!私も行く!』


○地下のデパートで生活用品や食品を飼う2人


カケル『俺、別の買い物をしてくるんで別れよう』


愛『え?これ1人じゃもてないよ!』


カケル『カートに乗せたまま部屋に入れるから大丈夫!それにすぐこの売り場に帰るよ』


○賭博街の通路で最初に出会ったローザーに話しかけるカケル


カケル『これ、どうぞ使ってください』


○ホテルのキーのアップ


カケル『毎日、お金は僕が払いますんで』


ローザー『え?なんで?』


カケル『誰かに力を借りる時が来るかも知れないので、もしよければ』


ローザー『俺でいいのか?』


カケル『はい。それとこれを・・』


○カケルの手にはトランプ1セット


○通路を再び歩くカケル


カケルの心『えーっと、まだいるかな?あの人・・』


○通路の端に折りたたみベッドを置いて寝ころぶ中年男


○その男としゃがみ込んで会話を始めるカケル


カケル『あの、以前にここで買った物なんですけど・・』


中年男『納品は明日の昼だ。それで良ければ』


○用事を済ませてデパートに帰るカケル


愛『早かったね』


カケル『買う物は3年前と一緒だから』


愛『ふーん。どんなもの?』


カケル『モップとか色々・・全部で3000万円』


愛『さ!たかっ・・モップって、なんで??ホテルだよ?床で寝る気?』


カケル『ううん。ひみつ(笑)』


愛『そうですか・・いいですよ別に。他人だし・・


て、言うか、その荷物はどこにあるの?』


カケル『明日の昼にローザーから受け取りなんだ』


愛『そんな商売やってる人いるんだ・・』


カケル『うん。色々いるよ。地上に偽札工場作ってる人とか、現金輸送用の


小さな飛行場作ってる人とか』


愛『ほええ~!なんか、こえ~!』


カケル『そうだ!後で愛も服とか買ってくれば?』


愛『いいの?やったぁ!ちょっとリッチなのも着ていいの?』


カケル『それはやめて欲しい。』


愛『なんで?1泊60万も使うならと思ったけど・・』


カケル『俺達の格好のテーマはバカンスで来た若い夫婦。そうしよう』


愛『え?テーマとかいらなくない?』


カケル『見られるんだよいろんな人に』


愛『いろんな?』


カケル『特に怖いのがローザー』


愛『え、だって関係ないでしょ?お金が無くて賭けに加われないんだから』


カケル『関係ある。あの人達はただ、寝ているんじゃない。


毎日、ここからはいだす事を考えて暮らしている。昨日の俺みたいに』


愛『ま、そりゃそうだけど・・』


カケル『今日の博打みたいに情報は億を動かすんだ。誰が金を持っているとか


乗ると勝てる人とか、相手にしない方がいい客とか。


そう言うのを見てリストにして金持ちに売るんだ。


あいつはプロで急に裕福になったとかの情報を流されたら


周りの客達に相手にされなくなる。そうなったら終わりだ。


稼げなくなる。』


愛『あ・・分かった・・ごめん・・』


カケル『こっちこそ、ごめん。ただ、通路に1歩でたらギャンブルは始まっている事を


覚えておいて欲しい。銀行で現金を用意するのも最小限。


賭けには、なるべく小切手を使おう。』


愛『それはなんで?』


カケル『24時間営業の銀行そばの通路で寝ているローザー達はこの賭博街の情報主。


そこで大金を持ち出すお客のリストも作っている。


所持金をカウントされてるプレイヤーもいる。


誰の持ち金が多いかが勝負を左右するルールの賭博部屋もあるから


その情報は高く売れる。銀行そばの通路の寝床の売値は数十億円。


ローザーなのに数十億円も持っていて、毛布にくるまってる人も沢山いる』


愛『・・そんな・・』


カケル『ここは日本じゃないってことさ。


明日の深夜の掃除の時間に俺が両替に行く』


愛『なんで?』


カケル『掃除の時間は200メートルほどの大移動があるのを覚えてる?』


愛『あ・・昨日あったね・・』


カケル『そう。その時だけ、数十分、銀行の前にローザーはいなくなるんだ』


愛『他のお客さんが見てるという事は?』


カケル『その時間帯はほとんどお客がいない。


賭博部屋がどこもしまっているからね。さすがにウシ三つ時はみんな寝るよ』


愛『なるほど、分かりました』


○愛の料理を食べ終わる2人


カケル『ふぅ~。おいしかった!料理上手だね~』


愛『えへへ・・でも作り過ぎたから余っちゃった・・』


○料理を弁当箱に入れて出かけようとする愛


カケル『ん??どこ行くの??』


愛『ちょっとお礼に』


○初日の寝床の通路で出会ったローザーを探す愛


愛『あれ~・・移動したのかな?トイレかな?』


カケル『あの人は通路にはいないよ・・』


愛『なんで?お礼したかったのに・・』


カケル『じゃあ、俺が渡してくるよ!今はホテルにいるから』


愛『え?じゃあ、勝ったのかな?』


カケル『・・俺が味方に入れた・・』


愛『味方??連携プレーとかするの?』


カケル『分からないけど、何かしら役立つと思って。情報取ってきてもらうとか』


愛『なるほど・・その辺はおまかせします・・じゃあ、経費にいれておくね!


1日60万円?』


カケル『うん。ありがとう!』

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