第7話
「そうかようやく納得がいった。あの山賊らが私たちをあんなに早く見つけられたこと、お前が進行役の一人で間違えないな」
「ええ。ええ。そうです。理解が早くて助かります。私こそが今回の進行役の一人です。ですが彼らは山賊ではありません。この森の守護者です」
「どういうことだ?」
「彼らは文字通りこの森を守ることを使命としているのです。それが彼らとこの森との契約なのですから。まあこの話は置いておきましょう。他に質問は無いですか?」
「英雄とはどういうことだ?」
その質問を聞くとホーエンハイムはニヤリと笑い、机に重ねられていたボロボロの本を一つを手に取った。
「この本にはこの世界の危機に関しての予知が書かれています。はるか昔に存在したとされる。預言者が記したものです。」
「そんな眉唾なものを信じられるのか?」
預言など不確定なものはにわかに信じられないな。
「この本に記されていることに嘘はありません。何故ならこの本は起こりうる確率が最も高い未来を書き残しているものなのだから」
「それはどういうことだ?」
「『ノストラダムスの預言書』とこの本は呼ばれています。著者のノストラダムスは不思議なことにすべての確率が分かるというものだったらしいです。そのノストラダムスはこの本を書き残しどこかに消えてしまったそうです。この本には『恐怖の大王』が現れると書かれています」
「『恐怖の大王』だと?なんだ、そのふざけたものは」
「ええ。皆そう思っていました。実際に現れるまでは。そう実際に現れてしまったのです。その存在は正体は見えず、世界の終末を迎えると・・・・・・・・・・・・しかしこの予言には続きがあったのです。この予言書を書いた後に記されたとされる石板が見つかった。その石板には異界の地より、六人の知性あるものが現れ世界を変えるだろうと。故に君たちは英雄なのだ」
「ふん。くだらないな」
ほかの四人も興味がなさそうだ。
「君たちが好まざる好まざらないに限らずこの世界は君たちを英雄とするだろう。そういう世界なのだからね。これは私の想像なのですが、この世界は今大きな変化を迎えようとしています。その中でその中心となるのは皆さんたち六人だと思います。そのことを英雄とノストラダムスはいっているのではないでしょうか」
「僕からも質問していいか。たいそうな名前だが錬金術とはどういうことだ?この世界にはそんなものなであるのか?この部屋何のためにある?」
「皆さんは知っているかわかりませんが、錬金術は世界の心理を探究するものです。私の研究は錬金術の中でも人体にかかわることを研究しています。分かりやすく言うと、医術と科学の応用のようなものですよ」
――なるほどこの部屋は錬金術の研究部屋だったのか。しかしなぜだろう・・・・・・こいつはどことなく僕たちと同じ感じがする。
「何のために僕たちはこの世界に呼ばれたのだ?」
「その質問には答えられません。私は雇われている身なので。その答えはあの方にあった時にでも聞いてください」
こいつもあの案内人のことは知らないのか。
ふとなぜか一瞬、頭の中に見慣れない光景が浮かび上がってきた。見知らぬ場所に白いワンピースのような服を着た白銀の髪の少女が一人立っていた。その少女は確かにそこにいるのに、ノイズがかかったように声が聞こえないが何かを訴えかけているようだ。もう一つ、少女は黒い箱を両手で持っている。その箱は普通ではありえないほど黒くまるで闇が箱の形を成しているようなものだった。しかし何故か僕はその少女も黒い箱も知っているような気がしてならない、それは僕の象徴でありそして僕の罪でもある。
「もう一つ。パンドラの箱について何か知っているか」
「それも私の担当ではありません」
――なぜ僕はこんな質問をしたんだ?
いったい今のイメージは何だったんだ。もしや僕に関係する何かなのかもしれないが、まったく思い出せない。
「・・・・・・それでは質問もないようなので本題に入らせてもらいましょう」
「ちょっと待て。つまりお前は敵ではないってことでいいのか?」
いまいち状況を理解できていないモーツァルトが質問をする。
「面白いことを言いますね。あなた方を殺すならばすでに毒ガスをこの部屋に充満させていましたよ」
今の一言に緊張が走った。
「冗談ですよ。私の教えることはこの世界についてと次の目標についてです。皆様にはこれから聖女にあってもらいます」
「聖女だと?」
「ええ。ええ。あってもらえばわかると思いますよ彼女の恐ろしさが」
改革者 @yougi
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