第3話 異世界へ 【挿絵】
俺はファミレスとかで注文する時も割りと迷ってしまうタイプだ。どうしても決まらない時は目をつぶってランダムで決めるが、今回は流石にそうはいかないだろう。なぜなら…
「うーん、現代人の俺が転生するんだからあまり昔の世界はちょっとなぁ。かと言って未来過ぎるのも…」
ブツブツいいながら考える。流石に新しい人生計画を即断即決とは行けない。
「どこもオススメですよ~、ほらここなんかどうですか?」
俺を不幸のもとに死亡させた女神”レア”が俺の新しい人生をまるでアパレルショップの店員のように勧めてくる。違和感があまりないのが不思議だ。
「まぁ無難っぽいところにするか」
「ここの世界はどんな感じになってるんだ?」
宇宙空間のような部屋に映しだされた映像の一部を指さし、尋ねる。
「ここは…、帝国とかがいくつかあって魔王とかがいて平和のためにがんばるぞー、みたいな感じですね」
「人事だと思ってすげー、簡単な説明だな…」
「でも、まぁ、ザ・ファンタジーって感じだな!じゃあここにするか!」
「分かりました、希望通りにステータスを振り分けておきました。では、転生用の門を開きます。」
レアが何もない空間に手をかざすと、光の門のようなものが現れる。
「あなたに女神の幸運があらんことを」
挿絵(By みてみん)
そして、レアは、自然な笑顔を浮かべ、旅立つ冒険者への、女神っぽいセリフを言う。
――が
「おい、なに言ってんだよ。お前も来るんだよ」
俺は、完全にお見送り体勢だったレアの手首を掴み言い放つ。
「えっ」
俺は戸惑うレアを引っ張り歩きながら、光の門へ向かっていく。
「ちょ、ちょっと待って下さい!なんで私があなたと一緒に行かないといけないんですか!」
「私は女神なんですよ!?人間と同じ地に立つなんて嫌なんです!」
「だって、転生したあとにステータスに異常があっても、もうお前に文句言えないじゃん」
「例えば『希望通りにステータスを振り分けておきました』とか言って実は運を50までしか振ってない、とかな」
――ギクッ
おい、この女神、今、明らかに動揺したぞ。
「おい?まさか…」
レアの手首を掴んでいる手に力を込める。
「痛いです!ごめんなさいごめんなさい!今度はちゃんと振り分けますから!本当に100にしますから!信じて下さい!」
この女神、ちゃんと”信用”って言葉知ってるのか?
「信用できるわけねーだろ!さっさと一緒に来い、この真面目系クズ女神が!」
引き寄せる腕に力を入れて一気に光の中へ飛び込む。
光の中を落ちていく…
どこか懐かしい感覚を覚えつつ…
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