議題:今後の俺と生徒会について

ねこまねき

プロローグ

第0話 プロローグ

 4月、桜の花が舞う河川敷


2年になって初の登校。登校には少し早い時間。

しかし、今日は、俺の通う四葉学園の始業式兼入学式。


「やべぇー遅れるー!!」


 入学式の準備。準備と言っても新入生への言葉とかマイクテストなど最終確認のようなものだ。しかし、それも四葉学園生徒会役員である東城明人とうじょうあきとたちの仕事である。


 1年生の時、何気ないことで入ることになった生徒会。別に嫌って事はないけど大変なことも結構ある。


「お、おはようございます」


 息を切らせ生徒会室入ったときには、すでに2人はそこにいた。


「遅いわよ、東城君」


 パッと振り向きツインテールをたなびかせ、険しい顔で俺を睨む生徒会副会長、桜場未琴さくらばみこと1年の時は同じクラスで見た目は美人で男子にかなり人気のある。しかも成績優秀で頼りになるタイプである。なぜか俺には厳しく何かと言い合いになることが多い。


「ごめん、妹がなかなか起きて準備しようとしなくて、なんとか準備できたと思ったらこれだよ」


 謝罪と言い訳を未琴に伝えると、横から朝の日差しのように暖かく優しい微笑みで


「まぁまぁ未琴ちゃん。明人君もちゃんと間に合ったんだし。そういえば、東城君の妹さんって今年からうちの学園の1年生だったよね?」


 生徒会会長、望月奏もちづきかなでである。生徒会唯一の3年生。いつもニコニコしながらみんなをまとめるしっかり者。たまに、天然なとこもあり見ていて可愛らしい面もある。あとは、未琴と同じく成績優秀、見た目も美しく、綺麗で長い黒髪で俺を癒してくれる女神だ。


「はい。妹の奈瑠は今日入学です。まったく朝から大変でしたよ」


 妹の東城奈瑠とうじょうなる。俺の妹で今年から四葉学園の1年生。家ではわがままで、何でもかんでも兄任せ、兄をののしる天才である。俺が言うのも変な話だがな。時には、かわいい面もあるんだぞ。たぶん・・・奈瑠は学園入学を機に俺が1人で住んでいたマンションに来て現在は、2人で暮らしている。学園入学で少しは変わってくれるといいのだが、あのわがままが学園生活で通用するのか心配だ。


 今日だって入学式に出たくないと駄々をねその説得と準備で集合時間ギリギリになってしまったのだから。


 そんなこんなで未琴からはその後も軽い感じでは遇ったが文句が飛び、会長は変わらずニコニコして入学式の準備が行われた。


 準備も終わり入学式が始まる。講堂にはすでに、緊張の面持ちに覆われた新入生と休みが終わり久々の面々と顔を合わせる在校生が椅子に腰掛けていた。


 俺自身、春休みの間、奈瑠の引越しなどで忙しく級友に会うのも久しぶりだ。今年も楽しいクラスに・・・


「あっ!!」

「どうしたの?東城君」


 未琴がきょとんとした顔で俺に尋ねてきた。


「クラス替え見るの忘れてて・・・」


 顔を手で押さえうなだれながらそう答えると


「なーんだ。そんなこと、後で見ればすむことじゃない。まぁ今年も私と同じ2組だったわよ」


 呆れた様子で教えてくれる未琴。なんだかんだ言いながらも優しいとこがある。


「ありがとな。未琴」

「べ、別にいいのよ。生徒会役員のクラスは、知っといた方が連絡とかしやすいと思ってみただけだから」


 照れくさそうにしているが流石、生徒会副会長そんなとこまで気を配っている。


 未琴との会話が終わる頃


 「最後に、生徒会会長、望月奏さんより新入生への言葉です」


 先生の言葉に続いて「はい」と会長が返事をし、壇上へ上がっていく。


「新入生の皆さん。ご入学おめでとうございます。私は四葉学園の生徒会会長の望月奏です」


 会長が簡単な挨拶を済ませ、新入生への歓迎の言葉を話して行く。真剣に話を聞く新入生も居れば少しうわの空な者もいる。


 そんな中うちの妹は・・・寝てるし!!

 隣の席に座って奈瑠を起こそうとしている新入生が一人。奈瑠の親友、宮野小春みやのこはるである。小春は奈瑠の小学校からの同級生で家も近所で仲が良かった。


 俺ともよく遊んでたこともあり、奈瑠が学園入学が決まり俺の住むマンションに引っ越してから、たまに泊まりに来たりする。


「な~る~起きなよー」

「まだ眠い」


 遠目で、話し声は聞こえないがこんな感じだろう。俺は苦笑しながら再び壇上へ目を向ける。


「これをもちまして新入生への言葉とさせていただきます」


 会長は一礼し壇上を降りてきた。


「これにて、四葉学園入学式を終了します。」


 先生の閉式宣言も終わり、この後の簡単な諸連絡が行われ生徒は各教室へ向かって行った。とりあえず、入学式は何事も無く終わることが出来た。この後は片付けが待っている。これも生徒会の役目なのだ。


「はぁーい。みんな、お疲れ様」


 会長の一声で入学式の片付けが終わりを告げる。


 先生と生徒会だけでは少し厳しい量だった気がするが2時間ほどで終了。


「じゃあ、会長、桜場。俺、お先に失礼します」

「急いでるわね。なんかあるの?」


 帰ろうとする俺に質問を投げかける未琴


「あぁ、妹が家で空腹で待ってるからな。帰って飯作ってやらないと」

「そんなに妹さんが心配?もう子供じゃないんだし、お昼くらい自分で済ませてるんじゃないの?」

「いや、無いな。俺の妹は、なんだかんだ言って何もしないからさ。飯を自分で作るなんて、俺がぶっ倒れてもしないさ」

「ものすごい妹さんね。わかったわよ。さっさと行ってあげなさい」


 呆れ顔で未琴は、手を振りスタスタとを去って行った。


 俺はとりあえず奈瑠の待つ家へ向かって走り出した。

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