第380話 気配り上手は喜ばれる
陳登の巧みな話術により、呂布の一族は下邳の城へ移ることになった。
(ふふふのふ~!たあいのない将軍よ!!)
軍を進める呂布の後方に馬を並べ、陳登は彼の背を見てほくそ笑んでいた。
(呂布の一族がいない今、徐州の城は父上が制したも同然。これで呂布は、徐州へ引き返すことが出来なくなったわけだ。)
(・・・順調だ。実に順調だ。しかし、
(勝負はここからだ。呂布の奴を破滅させるためには1ミリの逃げ道も残してはならぬ。)
(一手一手と策を打ち、奴を肉体的にも精神的にも徹底的に追い詰めるのだ。)
邪悪な思考を高める陳登。
しかし、そんな彼を、呂布は微塵も疑っていなかった。
『陳父子は忠義の臣である。』
呂布は陳父子を心の底から信頼しており、彼らが自分を裏切るつもりがあるなど思いもしていなかったのである。
背後にいる裏切り者の考えなど露知らず、呂布は小沛の危機を救うべく、荒野の道を進んでいた。
すると、その道中で、
「
と、聞こえて来た。
「むむむ・・・さすがは曹操。行動が早い。」
「・・・よし、ならば蕭関から先に救うとしよう。」
伝えを聞いた呂布は気が変わって、蕭関へ道を変えようとした。が、その進行に陳登が待ったをかける。
「呂布将軍。蕭関へは急いで向かうべきではございませぬ。ゆるゆると進むべきです。」
彼の忠告に呂布は、
「何故だ?蕭関が危ないという知らせが来ておるのだぞ?」
と、眉をひそめて問いかけた。
この問いに陳登は、呂布を諌めるため・・・もとい、呂布をより追い詰めるために、長台詞にて説得を始めた。
「それは分かっております。しかし、蕭関を守る兵たちは、素性の知れぬ
「彼らは将軍のために命を捨てる気などない烏合の衆。利に遭えば、いつ寝返るかもわかりませぬ。」
「そのため、まずは様子を調べ、安全である確証を得てから急ぐことが賢明と思われます。」
この陳登の言を聞いた呂布は大いに頷き、
「うむ、たしかにお前の言う通り。よくぞ気がついてくれた。」
「我が命を守って、細かな気配りの出来る人物。」
「そちの如き者こそ、真の忠臣といえるだろう。」
と、彼を褒め称え、同時に、彼に蕭関の様子見を任せたのであった。
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