第231話 命は金より重い
楊奉の部下に『
徐晃は栗毛の馬に乗り、大斧を振り回して、李傕軍の兵士たちを瞬く間に薙ぎ倒していった。
「なんじゃらほ~い!もうどうにもなりまへんわ~!!」
「うぉう!やられた!!バカげたスピードで皆がやられていく!!」
「大斧で真っ二つに斬られて内臓をぶちまけて無残に死にますけど文句ありますか?ないでしょうよ?さっさと続き読んだらどうですか?ホンマにムカつく(# ゜Д゜) ムッカー!!」
パタリパタパタと兵たちが綺麗に倒れて行くその様子は、まるでドミノ倒しの様であった。
この凄惨な有様に、李傕は慌てて、
「こりゃいかん!皆の者!一時撤退せよ!!」
と、退却命令を下し、スタコラサッサと一時退却をした。
その礼を見た帝は楊奉の手を握り、
「危なきところを救われた!汝の働きは朕の
と、彼の働きに感謝の意を述べた。
心強い味方を得た献帝一派は道中を進んだ。
やがて夜が明け、空が明るくなり始めたその頃、「敵だッ!敵が近づいて来る~~!!」と、思わぬ声が上がった。
声が上がった方を見るに、敵の数は、昨夜に楊奉たちが追い払った数の数倍はある大軍であった。
しかもよく見ると、『李傕の旗』だけでなく『郭汜の旗』も掲げられている。
どうやら帝奪還を最優先に捉えた李傕は、敵である郭汜と同盟を結んだらしい。
同盟を結んだ彼らは、近隣に住む盗賊まがいの傭兵たちをかき集めて、献帝一派を追いかけて来たのであった。
「奴らは拙者にお任せあれ!」
そう言って徐晃は敵兵に特攻し、昨日に劣らぬ奮迅ぶりを見せたが、やはり多勢に無勢である。
それに加えて、帝たちが足手まといになり、彼らはあっという間に窮地に陥ってしまった。
(まずい、まずい!これはいかんぞ!あかんすぎる!!どげんかせんといかん!!)
昨夜は策が思いつかなかった董承であったが、今日の彼は冴えていた。
(何かないか・・・何かないか・・・これだ!!)
董承は馬車に積んであった大きな
葛籠の中には珠玉、金の髪飾り、金帯、金、金、金、などの金銀財宝がザクザクと入っていた。
彼はそれを手に取ると、「うおおおおおおおおお!!」と叫び声を上げ、車の上からそれらを惜しみなく投げ捨てた。
「みんな捨てろーーー!金目のモノは捨てるのだ!金を
『金は命より重い』と言うが、それは時と場合によるだろう。
再起が望めるのならば、今は『命は金より重い』である。
董承の言葉に、皆も馬車より金目のモノを次々と地面に投げ捨て、大地をキラキラと財宝で輝かせた。
その輝きを目に入れた盗賊まがいの敵兵たちは、
「うっひょーーー!金だーーー!金だ金だーーー!!拾えーーー!!」
と、瞳をキラキラと輝かせ、戦闘そっちのけで財宝拾いを始めた。
それを見た李傕と郭汜が、
「何をしておる馬鹿者ども!そんなモノを拾ってないで帝を捕らえろ!!」
と、叱責したが、兵たちは皆、
「いやよ~ん!いやいや!財宝拾いの方が大事よ~ん!!」
「だって金ですよ!金、金!金金金金金金金金金金金金金金金金!」
「世の中金だ!金で何でもできる!!ALL I NEED IS MONEY!!(=金がすべてだ!!)」
と、蛆虫の如く、そこを離れなかった。
そして、その様子を見た董承はすぐに号令を下した。
「今だ!馬車を走らせろ!!」
彼の声に合わせて
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