第217話 人の言葉に耳を傾けること
徐州の太守となった劉備は陶謙政権以上の善政を布き、民力の回復を計ったので、百姓たちからの聞こえは良く、その名声は瞬く間に各地に広まることとなった。
ところが、その名声を聞いて憤慨する一人の男がいた。
曹孟徳である。
「なにっ!? 劉備が徐州の太守に
「さ、左様にございます。陶謙亡き後、民衆の支持を集めて太守の地位を得たとの事にございます。」
「ぬぬぬ!劉備の奴め!許せん!!」
軽蔑した口調で毒を吐く曹操。
彼が怒るのも無理はないだろう。
「陶謙は我が父の仇!それは劉備も承知のはず!そして、その
「呂布が兗州に攻めて来なければ、今頃は徐州は我が領土になっていたのだぞ!!」
「それを『停戦しましょうよ、曹操さ~ん。』とか言って停戦を持ちかけておいて、いつの間にか徐州を自分の領土にするとは・・・なんたる腹黒野郎だ!!」
曹操は、いずれ復讐を遂げ、徐州を我が物にしようとしていたのだ。
しかし、劉備の出現により、その目論見は見事に崩れ去ってしまった。
自分の欲していた領土に善政を布く腹黒野郎が立っているのが、彼には相当に気に入らなかったようで、彼は怒りに任せて徐州に攻め入ろうとした。
「徐州へと侵攻するぞ!陶謙と劉備の両名を粛清するのだ!死んでいても許さん!!」
そんな怒り心頭の曹操を荀彧が静める。
「曹操様。お待ち下され。まだ我々は容易には動けません。軍備をしっかりと整え、まずは自分の領土である兗州を取り戻すのが先決です。そして、その後に徐州に攻め入り、領土を広げるべきです。」
荀彧には先見の明があり、それは曹操もよく知る所であった。
曹操は、元来、サッパリとした男である。
良き言動はすぐに受け入れ、自分の糧にする性格。
彼は荀彧の善言を聞き入れ、今すぐに徐州に攻め入ることは止めることにした。
「貴公の言葉は『善』であるな。・・・よかろう。当初の予定通り、汝南へと向かい、軍備をしっかりと整えることにする。」
曹操は予定を崩さず、東へ東へと軍を進めることにしたのであった。
※皆さんも人の助言には耳を傾けるようにしましょう。
出来ない人は異世界へどうぞ。
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