第202話 どんなモノにも弱点はある

 曹操は、『李典りてん』、『曹洪そうこう』、『于禁うきん』、『典韋てんい』といった名将たちを引き連れて、濮陽の城へと進行した。


(呂布は天下無双の豪傑。真っ向勝負で戦うのは得策ではない。)


 呂布の武勇を知る曹操は、すぐに城に攻め入ることを良しとせず、城から離れた位置に陣を布き、彼方より城を観察することにした。



 曹操は優れた眼を持っている。

 彼方より城を眺めた彼は、すぐに城の弱点に気付いた。


(あの城は西の砦が手薄とみた!攻め入るならば西からだ!)


 城の弱点を攻めるべく、曹操軍は日暮れと共に山道を越えて城の西へと回り込み、夜の帳が下りるとすぐに夜襲を仕掛けた。



――――――『西の砦が脆い!』


 賢しい陳宮は城の弱点に気付いていた。

 彼は再三、呂布に忠告したが、呂布は聞く耳を持たなかった。


「大丈夫!大丈夫!この城に攻めてくる奴は俺が返り討ちにしてやるから安心しろ!!」


 アホの呂布は陳宮の忠告を無視して、グーガーグーガー!と大きないびきをかいて眠っていた。


 そんな隙だらけの城に曹操軍が攻め入る。


 曹操軍の奇襲は見事なモノで、城内はたちまち大混乱におちいった。


「あー、痛い。」


「くそー。」


「やられたー。」


「肩を射抜かれた。」


 夜の闇に阿鼻叫喚が広まる。

 この無残な叫びは爆睡している呂布の耳にも届いた。


「何だ!何だ!この腑抜けた阿鼻叫喚は!作者のやる気がなくなったか!!」


 呂布は飛び起きて鎧を着こむと、一軍を引き連れ、西の砦へと駆けて行ったのであった。

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