第148話 報連相は怠らないこと
その日の宴会が始まる少し前。
董卓は天文官の1人を呼びつけ、彼に問いかけた。
「天文官・・・何か変わったことは無かったか?」
董卓の問いに対して、天文官は思い出したかのように答える。
「そういえば昨夜、一陣の
「・・・そうであろうな。」
「何かお心当たりがおありでも?」
天文官の言葉を聞いた瞬間、董卓は激怒した。
「やかましい!お前の知ったことか!!」
「ひ、ひぇぇぇぇぇ!!」
突然の董卓の激怒に天文官は情けない声を上げ、数歩後ろに下がった。
「天文官は絶えず天文を占い、何かあればすぐにわしに報告するのが務めであろうが!!報連相の心構えを忘れるでない!!この馬鹿チンがっ!!」
「しょえええええ!すみま千円!!」
報連相を怠った天文官は地に頭を擦りつけて董卓に謝り、これ以上彼の機嫌を損ねない内にピョンピョンとその場から逃げて行った。
天文官がその場から退出すると、董卓は次に呂布を呼び寄せた。
「何か御用ですか?」
「おおっ。呂布。よく来てくれた。宴会の席でお主にちょいとしてもらいことがあってな。耳を貸せ。」
董卓は呂布にヒソヒソヒソリンコと耳打ちをして、彼を宴会場へと向かわせた。
やがて時刻になると百官たちが宴会場である宴楽台に次々と集まってきた。
そして皆が席に座ると、董卓が宴会場に現れ、彼の乾杯の挨拶により宴会が始まった。
宴会の内容は『董卓にゴマをすりまくる』ということ以外は普通の宴会であった。呂布が動くまではだ。
宴会が盛り上がり、宴もたけなわになったその時、董卓の手の合図に合わせて呂布が立ちあがり、とある官僚の元に向かい歩き始めた。
ギラギラと不気味な目を光らせて、百官の間をのそのそっと歩く呂布。
そして、「逃がすなよ。」という目でその様子を上座より眺める董卓。
やがて呂布が、
「おい、お前。ちょっと立て。」
「えっ!? な、何故ですか?」
「やかましい!いいからだまって立つのだ!!」
「あ、ちょっと待って!ちょっと待って~~~!!」
呂布は張温の襟元をグッと掴むと、力任せに彼を立ち上がらせ、彼を堂の外へと持って行ってしまったのであった。
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