第141話 襄陽の戦い その五

 黄祖軍大敗の報せは、すぐに襄陽城じょうようじょうにいる劉表の元に届いた。


「劉表様!黄祖将軍がやられました!」


「なぬっ!して黄祖は今、何処に!!」


「黄祖将軍は残党を率いて鄧城へと逃げ延びました。孫堅軍は勢いに乗り、襄陽城へと攻め入ろうとしております。」


「うわぉぉぉぉぉ!それはアカーン!!」


 報を聞いた劉表は顔色が真っ青となった。

 慌てふためく劉表に家臣の蒯良かいりょうが進言する。


「劉表様。すぐに袁紹に使いを出すのです。『お願いですからたちけてください!!』と。そして、救援が来るまでは城を固めて守りに徹しましょう。」


「ううむ。蒯良の言う通り。・・・よし!すぐに袁紹に」


「ちょっと待って下さいさい!私はその拙い提案に反対です!!」


 蒯良の提案を呑み込もうとした劉表を1人の家臣が制した。

 制した家臣の名は蔡瑁さいぼう

 彼は主君である劉表が袁紹に頭を下げるのが許せなかった。


「劉表様。救援など必要ありませぬ。迫りくる孫堅軍など打ち破ればよろしいだけのこと。私にお任せあれ。」


「・・・お前に出来るのか?」


「出来まぁす!!」


 根拠もないのに出来ると豪語する蔡瑁の自信満々の表情を見て、劉表は彼に一軍を与えることにした。


「そこまで言うならやってみよ。(期待してないけど。)」


「やって見せます!こうご期待!!」


 こうして劉表から与えられた一軍を率いて、蔡瑁は城を発して、襄陽の南の地にある峴山けんざんにて孫堅軍と対決した。


その結果は・・・・・・・・・・大敗でーす!!


 特に策も持ち合わせずに戦いを挑んだ蔡瑁はあっという間の超瞬息で敗北してしまった。


(こ、こんなはずでは。)


 と、蔡瑁はガックリと項垂れ涙目で、みじめな残兵と共に城に逃げ帰ったのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る