第七章 江東の戦乱
第131話 八つ当たりは止めよう
場面は変わり、洛陽の南に位置する
南陽の太守は『袁術』であり、袁術は袁紹の弟である。
南陽は豊かな土地ではないため、兄の袁紹から援助してもらうことで何とか経済をやりくりできる状況であった。
袁術は今、謁見の間で椅子に座り、イライラしながら酒を飲んでいた。
「・・・兄からの返事はまだないのか?」
「・・・ありません。」
「やかましい!!」
「ムギュ!!」
袁術は側近に杯を投げつけ、理不尽な八つ当たりをしていた。
彼は今、兄の袁紹に怒りの矛先を向けていた。
袁術が兄の袁紹に怒りの矛先を向けている理由は、先の反董卓連合の恩賞に原因がある。
先の戦いにおいて、袁術は袁紹の推薦により兵糧奉行として活躍していた。
孫堅の兵糧の件を除けば、彼は真面目に仕事をこなし、戦う兵たちを皆、飢えさせなかった。
その恩賞を頂こうと袁術は袁紹に手紙を送ったのだが、待てど暮らせど、返事は来なかった。
(ぬぬぬ。兄者め。私が兵糧を管理したおかげで戦に勝てたというのに、その時の恩賞をくれないとはこれいかに。)
返事が来ないことに腹を立てる袁術。
ちなみに彼が袁紹に送った手紙の内容はこれである。
『兄上。連合軍の時の恩賞よこせ。馬千匹でいいからよこせ。・・・よこせったらよこせ~!!』
ここで読者の皆様に尋ねたい。
こんな手紙があなたの手元に届いたら、あなたはどう思うだろうか?
皆様が思う気持ちを袁紹も抱いていた。
それから数日後、ようやく袁紹からの返事が袁術の元に届いた。
「袁術様。袁紹様からの御返事が届きました。」
「なにっ!やっと届いたか!よし、手紙をよこせ!!」
袁術は側近から手紙を奪い取ると、すぐに内容を確認した。
袁紹からの手紙にはこう書かれていた。
『死ね。』
簡潔かつ分かり易い袁紹の返事に、袁術の怒りは頂点に達した。
「はああああああ!兄者の奴、ふざけるなよ!馬一匹、恩賞としてよこさないとはどういうことじゃ!!」
「え、袁術様。落ち着いて下さい。手紙を返して下さっただけでも良しとしましょうよ。」
「やかましい!!」
「ムギュギュ!!」
袁術は側近に杯を投げつけ、またしても八つ当たりをしたのであった。
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