第129話 世界の中心でアイを叫んだけ英雄

「和睦せよ。ああ和睦せよ。和睦せよ。これは帝の意思である。」


 帝の勅使は袁紹と公孫瓚の両陣営へと赴き、董卓の仲介による和睦の意思を表明した。

 この意思に対し、袁紹と公孫瓚は共に、


「「まぁ、あいつがどうしてもというのなら和睦しよう。」」


 という風に本心は口に出さず、遠まわしに勅命を承諾した。


 李儒の読み通り、両陣営とも多数の死者を出しており、生き残った者は皆疲れ果てていた。

 この一ヶ月の戦いにおいて、戦場にいる皆が、


(このまま戦っては泥沼の争いになってしまう。・・・それだけはイヤ~ン!)


 と思っていたところにこの勅命が来たのであった。

 そのため、両者とも『渡りに船』と、この勅命を素直に受け入れたのだ。


 それから数日後、和睦の準備を終えた両名は盤河橋の上で、手を握り、杯を交わし合って和睦した。

 そして、その日の内に兵馬を整え、それぞれの国に帰国したのであった。


 それからさらに数日後。

 公孫瓚の陣営に一報が届いた。

 その内容は劉備たちにとって、とても喜ばしい内容であった。


 報を受け取った公孫瓚は劉備たちを広間に呼び寄せ、彼に報の内容を話した。


「喜べ、玄徳。じつは袁紹と和睦した際に、長安へ感謝のしるしと共に、『劉備玄徳を平原の相に任命されたし』という願いを上奏していたのだ。そして、その返事が今日来た。今日からお前は平原の相だ。」


「えっ!? ほ、本当ですか!!」


「本当だとも。・・・ほれっ。これがその書状だ。」


 公孫瓚は驚く劉備に書状を手渡した。

 劉備は渡された書状を開いて、内容を確認してみた。

 書状にはこう書かれていた。


『劉備玄徳。お前を今日から平原の相に任命する。・・・感謝するんだな。今日までのことを感謝しろ。そして明日からも感謝し続けろ。・・・この余に対してな・・・以上だ。』


 書状には公孫瓚の言う通りに、劉備を平原の相に任命すると書かれていた。

 内容を確認した劉備は顔をほころばせて、公孫瓚に感謝の意を表明した。


「公孫瓚殿。ありがとうございます。」


「ははは。お前は私によく尽くしてくれたからな。これはその恩返しだ。・・・本当によかったな。玄徳よ。」


「ありがとうございます。本当にありがとうございます。」


 公孫瓚に感謝の言葉を述べながら、劉備は目に涙を浮かべていた。

 涙を浮かべたのは劉備だけではない。

 彼の義弟たちも涙を浮かべていた。


 劉備三兄弟。

 彼らは黄巾の乱より故郷を発ち、国を想いながら戦い続けた。

 しかし、いつも彼らは認められなかった。

 田舎者と馬鹿にされ、足軽だと罵られた。

 不遇の生活を強いられる日々。

 それでも彼らは耐え続けた。

 歯を食いしばり、逃げずに必死に耐え続けた。

 そんな彼らが今日報われたのだ。


 男泣きせず、なにが男か!


 この時の彼らの胸中を表す言葉を作者は知らない。

 知っていても書き表すことは出来ないだろう。

 並みの男では書くことは不可能だ!真の男でなければ書くことはインポッシブルなのだ!!


 劉備は震える声で、その場にいる皆に感謝の言葉を述べる。


「僕は卑怯で、臆病で、ずるくて、弱虫だ。」


「でも、僕はなれたんだ。」


「そうだ!僕は平原の相になれたんだ!」


 そして、真の男である彼に拍手の嵐が巻き起こる。


全員「「ワァーッ!ブラボーッ!ヤーイッ!オーイッ!ヒューッ!」」


ヒステリーな侍女「おめでとう!」


ラングレーな侍女「おめでとう!」


ミステリアスな侍女「おめでとう。」


サイエンティストな侍女「おめでとう!」


アダルトな兵士「おめでとう!」


チェアマンな侍女「おめでとう!」


カメラマンな兵士「めでたいなぁ!」


フレンドリーな兵士「おめでとさん!」


バードマンな兵士「クックックワァクッ!」


サポートマンな兵士「おめでとう!」


オペレーターな兵士「おめでとう!」


シニアラブな侍女「おめでとう!」


ウインタームーンな兵士「おめでとう。」


公孫瓚夫婦「「おめでとう。」」


劉備「ありがとう・・・。」


関羽「父に、ありがとう。」


張飛「母に、さようなら。」


作者「そして、全ての英雄達ヒーローズに」


「おめでとう」

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