第127話 気が合う合わないは大切なこと
盤河での戦いが一旦の終わりを見せ、劉備たちは公孫瓚の陣営へと招かれた。
「よく来てくれた、玄徳。お前たちが来てくれなければ苦戦は必至であったぞ。」
「いえいえ。恩ある公孫瓚殿に力を貸すなら今において他無し!と馳せ参じたまでです。」
「ははは。相変わらず義理堅い男よ。」
劉備と公孫瓚が幕舎にて歓談していると、1人の男が幕舎に入ってきた。
入ってきた男は、先の戦いで大活躍を見せた趙雲であった。
「おお、趙雲か。ちょうど良かった。お主を玄徳に紹介しようと思っていたところであった。・・・玄徳。こちらが先の戦いで目覚ましい活躍を見せた、『趙雲子龍』殿である。彼は・・・クドクド、ベタベタ、ホメホメ、ヨシヨシ・・・。」
公孫瓚は趙雲を劉備たちに紹介した。
公孫瓚は彼を絶賛しており、彼の戦いぶりや兵の動かし方、また彼自身の謙虚な性格の良さなどを余すことなく劉備に伝えた。
少し誇張された紹介に趙雲は気恥ずかしくなり、「ちょっと止めてよ~。」と言わんばかりに頭を掻いて顔を赤らめた。
そしてその様子を見た劉備は微笑んで趙雲自身に話かけた。
「趙雲殿。私は劉備、字は玄徳と申します。平原で小役人をしておりますが、これからどうぞよろしく願います。」
劉備の名を聞いた趙雲は、やはりそうかと大変驚いた。
先の董卓との戦での劉備たちの活躍は広く知れ渡っており、趙雲自身も劉備たちのことを知っていたからだ。
「おお。あなたが劉備玄徳殿でござるか。お噂はかねてより聞いておりました。劉備殿には2人の豪傑がついておられると聞いておりますが・・・後ろにおられる御二方が関羽殿と張飛殿でござるな?」
趙雲は劉備に挨拶をしながら、劉備の背後に立っている2人の大男に尋ねた。
「左様。拙者が関羽でござる。」
「張飛じゃい。」
関羽と張飛は軽く一礼して、趙雲に名を告げた。
「やはりそうでござったか。御二方の活躍もよく耳にしておりました。・・・と名乗るのを忘れておりました。拙者は
互いに挨拶を終えて、4人は談笑した。
劉備三兄弟と趙雲は気が合ったようで、まるで十年来の友と話をするように話は大いに盛り上がった。
劉備は、趙雲の事を
(よい人物だ。ただの武将ではないな。)
と絶賛し、趙雲は劉備の事を、
(噂以上の人物だ。・・・まだ若いようだが、主君と仰ぐならば、こういう人物が望ましい。)
と尊敬の念を抱いた。
一方、完全に蚊帳の外にされている公孫瓚は、キャッキャウフフと談笑する彼らを見て、
(あれ?わし、忘れられてない?なにこれ?・・・まぁいっか。)
とさみしい気持ちに見舞われたのであった。
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