第125話 磐河の戦い その五

(無敗を誇っていた白馬陣が・・・なんということだ!!)


 白馬陣を徹底的に討ちのめされた公孫瓚は自陣へと彼らを撤退させていた。

 盤河橋を渡り、逃げる白馬陣を袁紹軍が追撃する。


「逃がしてたまるか!死ね!死ね!死ねぇーーーい!!」


「ありゃ~!これは上手うまくやられてしまったな~!!・・・馬の部隊だけにね。」


 激寒で意味不明なことを叫びながら殺られていく白馬陣の兵たち。

 殺られる部下たちを尻目に命からがら自陣まで逃げのびた公孫瓚であったが、袁紹軍の勢いは止まらなかった。

 袁紹軍は盤河橋を渡って、公孫瓚軍の陣営を荒らし回ったのであった。


 一陣破れて、二陣潰えて、三、四陣砕けて、五陣もやられた。

 公孫瓚軍は支離滅裂に踏みにじられていた。

 しかし、ここに摩訶不思議な一つの後詰の兵の群があった。

 その兵の群は500ばかりで、彼らを率いているのは客将の趙雲であった。


 チラッ、チラチラッ、チラチラチラチラッ・・・チラーーーーーッ!と500ばかりの兵たちは趙雲の方をチラ見していた。

 趙雲は馬上にて悠然と構え、微動だにせずに戦況を見守っていたからだ。


「・・・趙雲殿。あの・・・助けに行かれませんか?味方がピンチの様ですけど?」


「まだだ・・・もう少し・・・後少しだ。」


 趙雲は戦況を見守りながら突撃のタイミングを計っていた。

 そして、攻め入る袁紹軍のわずかな隙を見計らい、趙雲は突撃命令を下した。


「よし!今だ!全員突撃!!」


 趙雲は、わずか500の兵で袁紹軍に向かい突撃していった。


 趙雲の活躍は目を見張るモノであった。

 公孫瓚より頂いた白馬にまたがり戦場を駆ける趙雲。

 鋭き刃を持つ槍で敵を貫き、吹き飛ばし、瞬く間に並みいる敵を薙ぎ倒した。


「しょえぇぇぇぇ!何じゃあいつは!勝てっこないよう!」


「やられる!やられる!やられちゃ~う!」


「やられた!死んだ!残念!」


 わっさわっさと敵を倒す趙雲のすさまじい活躍により、公孫瓚軍は勢いを取り戻し、袁紹軍と互角の戦いを繰り広げるのであった。

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