第85話 年齢制限等級にご注意を

 洛陽の丞相府は色めき立っていた。

 反董卓連合結成の報が早馬にて届いたからだ。

 董卓の腹心である李儒はすぐに董卓の元へと赴き、彼に反董卓連合結成の報告をした。


「董卓様!董卓様!大変です~~!反乱軍が旗揚げしました~~!!」


「何っ!どこで旗揚げしたのだ!」


「陳留です!」


「陳留だとっ!・・・ということは、首謀者は曹操か!!」


「はい!曹操が各地に檄を飛ばして諸侯をそそのかして将兵を集め、袁紹を総大将として反乱軍を結成したようです!!」


「ぐぬぬ!曹操めっ!!」


 董卓は李儒からの報告を聞いて憤慨した。

 1人で自分を暗殺しようとした曹操が、今度は大軍を率いて自分を正面から殺しに来たのだ。

 董卓の怒りは凄まじく、屋敷内に飾ってあった花瓶や絵画などを放り投げ、砕け散った破片で床を覆い尽くした。


 物に当たってストレスを発散した董卓は李儒に話の続きを促した。


「して、その兵力は!」


「はっ!集まった諸国は18ヶ国!反乱軍は数十万の兵力を率いて此方に向かってきております!!」


「数十万だと!そりゃいかんばい!!」


「さらに先陣は孫堅です!孫堅は今、汜水関に向けて軍を進めております!!」


「えっ!嘘っ!マジで孫堅なの!そんな馬鹿な!もうダメだーーー!!・・・って孫堅?長沙の太守の孫堅のことか?名前は知っておるが・・・孫堅はつおいのか?」


 董卓は首を傾げながら李儒に尋ねた。

 孫堅は名前こそは世間に知られていたが、その人柄などはよく知られてなかった。

 しかし、物知りな李儒は孫堅のことをよく知っており、董卓の問いに難なく答えることが出来た。


「孫堅は戦上手として知られています。なにせ、孫堅は兵法で有名な孫子の末裔ですから。」


「ひえぇぇぇ!あの孫子の末裔か!!」


「はい。それに彼自身の武勇伝としてこういう話があります。」


 李儒はそう言ってコホンと咳払いをした後、彼の武勇伝について語り始めた。


※孫堅の武勇伝は吐き気を催すほど残酷極まりない内容です。

 心臓の弱い人はご注意願います。



孫堅17歳。

ある日、とある港で海賊たちが財宝の運搬作業をしていた。

それを見た孫堅少年、目障りだと剣を抜き、海賊たちに単騎突撃。

fin



「・・・以上です。」


「な、なんという凄まじい武勇伝だ!セルフレイティング設定をしてなければ読者の皆様にお聞かせすることは出来なかったぞ!危なかった!!」


 董卓は海賊相手に単騎突撃をしたという孫堅の武勇伝を聞き、冷や汗が止まらなかった。


「それほどの豪の者とあらば、生半可な者を出すわけにはいかんな。・・・呂布を呼べ。」


「はっ!」


 董卓からの下知を受けた李儒は呂布を呼びに行こうとした。

 しかしその時、その場にいた1人の猛将が手を挙げ、出陣への名乗りを上げた。

 手を挙げた人物は関西の人、『華雄かゆう』であった。


「話は聞かせてもらいました。董卓将軍。鶏を殺すのに牛刀を用いる必要はありますまい。拙者で十分です。」


「おお!華雄か!良く申した!ならばお主に5万の兵を与える!汜水関に赴き、孫堅軍を打ち破ってこい!!」


「御意!!」


 華雄は董卓に背を向けて部屋を出ると、兵を引き連れ、意気揚々と汜水関へと向かった。

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