第42話 俺たちの戦いはこれからだ
(やべぇ・・・口に出すのは結構勇気いるな。)
劉備は関羽の問いに答えずに悩んでいた。
関羽の言葉と張飛の行動より2人も同じ気持ちであることは間違いないのだが、劉備は言葉に出せずにいた。
そんな劉備に対して関羽がフォローする。
「兄者。何も一人で背負うことはあるますまい。我らは兄弟。支えあってなんぼでしょう。」
関羽のその言葉を聞いて劉備は決心した。
今後のことを何も考えていない、お先真っ暗の人生を歩むことを決めた。
否。明るい希望に満ちた未来へと進むことに決めたのだ。
「わかった。私も本音を言おう。・・・私は以前よりこの職を辞めたいと思っていた。そして今日その決心がついた。関羽、張飛。私は今日このブラック企業を退職する。」
「「おおっ!!」」
劉備の本音を聞いて義弟2人が声を上げた。
2人の声には不安や迷いが感じられず、喜びの声のみであった。
それを聞いて劉備は自分の考えに間違いが無いことがハッキリとわかった。
「黄巾の乱の時からわかっていたことだが、漢王朝は腐敗しきっている。そして、それがこうもハッキリと目の前で見せつけられると私ももう我慢の限界だ。私はこのような糞虫野郎に頭を下げて生活するのはうんざりだ。下げるなら本当の英雄に頭を下げたい。・・・と言うことで退職するがいいかな?」
「「もちろんです兄者!!」」
関羽と張飛の同意を得られた劉備は、木に縛りつけられたままの督郵の方へと体を向けた。
督郵は劉備たちが会話をしている間に体力が少し回復していたようで、虚ろだった瞳がハッキリとした瞳になっていた。
「督郵殿。今の会話の通り、私は今日限りで安喜県の警察署長の任を辞させて頂きます。・・・辞任表は必要ないですよね?」
「そ、そんなもの必要あるか!お前たちは今日限りでクビだ!」
「なるほど。では会社都合の退職と言うわけですね。ではもらえるモノは貰っておくとしましょう。」
劉備ら3人は退職金とばかりに、必要物資を督郵の所持品から奪い取り、立派な馬に跨ると村を飛び出した。
荒野を走る無職の3人に絶望の表情は見えない。
見えるのは明るい未来に向かって進んでいるのだという希望の表情であった。
「関羽、張飛。これからどこへ行こうか?」
「心配することはねぇぜ兄者!この国は広いんだ!どこかに俺たちに合った土地がありますよ!」
「張飛のいう通りですぞ兄者。ひとまずは自分たちに合った地でゆっくりと今後のことを考え、天下万民のための策を考えるとしましょう。」
頼もしい義弟2人の言葉に勇気づけられ、劉備は微笑む。
「そうだな。・・・よし!ではこのまま縛られること無く自由気ままに天下を救うとしよう!」
そして、3人は声をそろえてこう叫んだ。
「「俺たちの戦いはこれからだ!!」」
ご愛読ありがとうございました。
劉備玄徳の今後の活躍にご期待ください。
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